- 著者
-
岡野 雅子
- 出版者
- 日本家庭科教育学会
- 雑誌
- 日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集 第45回日本家庭科教育学会大会
- 巻号頁・発行日
- pp.20, 2002 (Released:2003-04-02)
【目的】中学·高校の『学習指導要領』の保育領域には乳幼児等とのふれあいや交流の機会を持つように努めることが明記され、生徒が幼稚園や保育所で保育体験学習を行う例が増えている。本研究は受け入れ園側から見た課題について検討し、体験学習をより実り多いものにするための示唆を得たい。【方法】群馬県T市とM市にある幼稚園48園および保育園(所)79園に調査質問紙を配布し、32幼稚園(公立6, 私立25, 不明1)と64保育園(公立30, 私立34)の計96園(所)より回収した(回収率75.6%)。調査時期は平成13年3月である。【結果と考察】(1)93.8%の園は受け入れ経験があり、92.7%は中学生の受け入れ経験がある。体験学習の内容は「一緒に遊ぶ」「世話をする」7-8割、「施設を見学」「一緒に給食を食べる」5割弱等が多い。(2)教育効果として「子どもを好きになる」が最多で「保育の重要性を理解する」「自分自身について考える」「子どもの発達を理解する」と続き、「親の役割を理解する」は相対的に少ない。(3)問題点として「観点やマナーを指導して」「生徒の意識や態度の変化を見て」「協力体制を整える必要」が多く、「迷惑だ」は少ない。(4)生徒は「幼児とのふれあいを楽しんでいる」、幼児は「喜んでいる」が圧倒的に多いが、その程度が強い程「子どもを好きになる」「自分自身について考える」「親の役割を理解する」も高率である。(5)したがって、生徒の幼児に対する親和性の形成は認められるものの、親準備性の獲得に向けては、なお一層の検討すべき余地があるようである。