著者
松本 伸示 佐藤 真 森 秀樹
出版者
兵庫教育大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

19年度は,兵庫県加東市の小学校で低学年児童を対象として絵本の「読み聞かせ」活動を取り入れた日本版の「哲学」授業を実践した。これは,これまでIAPCで開発されたテキストを用いてきたが,低学年児童を対象するには討論の題材が身近であること,さらには,低学年児童の読解力の発達を考慮にいれたことによる.また,これまで「総合的な学習の時間」を活用して「哲学」授業をおこなってきたが,今年度は子どもたちにもっと哲学的討論を身近なものとするため,学校のカリキュラムに縛られることのない放課後の学童保育の時間を活用することも考えてみた.これにより教室という物理的,心理的な条件に縛られることなく子どもたちは自由に哲学的討論を楽しむことができた.さらに,兵庫教育大学附属中学校においても選択科目の時間を活用し日本版の「哲学」カリキュラムを開発して授業実践した。これはイギリスのNEWSWISEを手がかりにニュースを教材としたP4Cの手法を参考としつつ,討論テーマを生徒の身のまわりの出来事から取り上げた実践研究である.この実践ではより哲学的な要素を含んで討論が展開されるようにカリキュラムを設定した.また,17年度に収集した韓国の資料をもとに思考力育成を図るための副読本「お母さんとともに創る日記」を完成させた。これらの基礎データによって日本においても「哲学」授業が可能であり,児童・生徒の思考力の育成につながっていくことを明らかにした。
著者
宇都宮 俊徳 森 秀樹 厨 平 奥 保彦 青井 渉 橋場 邦武 持永 俊一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.73-78, 1987-01-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

先天性左側全心膜欠損症の胸部X線写真,心電図,心エコー図の体位による変化を定量的に検討した報告はみられない.我々は,本症7例を正常対照と比較した.左側臥位での胸部X線写真の心胸郭比と心横径の増加や,心電図のRV5の変動幅は,本症で大であるが正常対照と重なりをみた.新しい指標の∑|δR|/∑R(|δR|は,胸部6誘導R波高の体位変動の絶対値, Rは仰臥位のR波高)は,本症と対照を鑑別できた.心エコー図の心室中隔奇異性運動は左側臥位で増強したが,正常対照や他の疾患では増強はなく,左側臥位での心室中隔の奇異性運動の増強は本症の診断に有用な所見と思われた.また,奇異性運動の程度(振幅)は,左室後壁の振幅と相関した.

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著者
森 秀樹
出版者
京都大学哲学論叢刊行会
雑誌
哲学論叢 (ISSN:0914143X)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.1-12, 2007
著者
森 秀樹 杉澤 学 張 海 前迫 孝憲
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.387-394, 2011-03-30 (Released:2016-08-07)
参考文献数
8
被引用文献数
18

ブロック型のプログラミング言語「Scratch」を用いて,小学校4年生向けにプログラミングの授業をデザインし,実践した.26時間の授業を通じて,画面上でスプライトを動かすなどの制御や繰り返し命令を含めた作品をつくることができた.また,条件分岐やキー入力の判別処理にも8割を超える児童が取り組むことができた.これらの結果から,小学校段階でプログラミングが可能であることを確認できた.
著者
亀田 健治 村上 正基 森 秀樹
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

皮膚再生医療を推進するため、三次元培養皮膚の作製法を改良することを我々の研究目的の主とする。我々はこれまでに羊膜を併用して三次元培養皮膚を作製することにより、簡便に三次元培養皮膚を作製できる方法を確立していること報告している。培養皮膚の作製法はここ数年である程度の確立を認め、熱傷などに対する保険適応治療とし て、ベンチャー企業などからも患者角化細胞を用いた培養表皮が供給されるようになり、これによる自家移植が可能となった。しかしながら未だ三次元培養皮膚 内での付属器の再生には至っておらず、今後マウスモデルに代わる実験モデルを目指す上で、表皮及び真皮内に付属器(汗腺、毛包、脂腺)を再現することは非常に重要な課題である。我々は三次元培養皮膚内にエクリン汗腺の構築(表皮内汗管、真皮内汗管、真皮内汗腺分泌部)を最終目的とする。これまで、臨床検体からの真皮内導管細胞・腺房細胞の分離培養し、エクリン汗腺由来細胞の性質の検討をした。真皮内汗管細胞に対して増殖促進、抑制する 因子の条件を検討し、エクリン汗腺由来細胞の増殖能、また、エクリン汗腺由来の他分化能について、現在検討中である。我々はこれまで角化細胞の無血清培養法の開発、培養表皮シート自己移植の有効性の検討および保存液開発に伴うセンター化の確立を達成している。これら培 養表皮シート移植法の開発と並行して、三次元培養皮膚作製法の確立、臨床応用における有用性の検討の結果、三次元培養皮膚は培養表皮シートと比較して生着 性に優れていることを見いだしている。今回我々が提案するこの研究の最大の目的は、既存の培養法を使用して三次元培養皮膚を作製するのみならず、将来の基 礎研究及び臨床応用に十分に貢献できる品質の三次元培養皮膚モデルの作製を目指すものである。
著者
矢野 和成 森 秀樹 南川 清 上野 照剛 内田 詮三 長井 健生 戸田 実 増田 元保
出版者
水産庁西海区水産研究所
雑誌
西海区水産研究所研究報告 (ISSN:0582415X)
巻号頁・発行日
no.78, pp.13-30, 2000-06

電界印加実験および局部電界発生実験(電撃実験)を用いて,電気刺激に対するサメ類の反応について研究を行った。電界印加実験(EFE)は,クロトガリザメ,ネムリブカ,トラフザメの3種類で行った。実験方法は,直径7メートルの円形水槽の中心部と縁辺部に銅板電極を設置し,電流を流して実験魚の遊泳行動の観察を行った。実験は方形波パルスと60Hz正弦波交流を電力増幅し,電極間に印加した。電界印加実験は1回の実験につき10分間行い,ビデオカメラによる撮影と目視による行動観察を行った。3種類の実験魚の通常の遊泳行動は,円形水槽の縁に沿って遊泳していた。クロトガリザメとネムリブカは,電界印加を与えたところ,頭部を左右に振り急激な方向変換をし,その回数は通常の遊泳行動よりも多かった。そして,電極付近には近づかず,電極間もほとんど通過することがなく,これら2種は電界を嫌う行動が見られた。一方,トラフザメは電界印可を行っても遊泳行動に変化が現れることがなかった。局部電界発生実験(PEF)は,EFEの実験魚3種とイタチザメについて円形水槽で,ツマグロ,ドチザメ,ナヌカザメ,トラザメでは長方形水槽(180cm×120cm×70cm)で実験を行った。クロトガリザメ,ツマグロ,ネムリブカ,ドチザメは,電撃刺激に対して非常に強い逃避行動の反応がみられた。ナヌカザメとトラザメでは,電撃刺激に対して頭部をほんの僅か振る程度の非常に弱い反応があり,逃避行動もみられなかった。イタチザメとトラフザメは電撃刺激に対してまったく反応しなかった。以上のように電気刺激に対して非常に強い逃避行動がみられる種類もいるが,まったく反応しない種類もみられ,これら刺激に対する反応には種類別に違いがあることが判明した。そのため,電気刺激に対する反応が強い種類では,サメ類の人的被害防止あるいは漁業への食害防止のための電気刺激を利用できることが示唆された。
著者
森 秀樹
出版者
日本眼光学学会
雑誌
視覚の科学 (ISSN:09168273)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.122-129, 2016 (Released:2017-01-18)
参考文献数
6

前眼部光干渉断層計であるCASIAがSS-1000からCASIA2となり撮影範囲や機能性が向上した。CASIAのトポグラファー機能は, 高度な角膜不正乱視に対しても正確かつ良好な再現性で評価可能である。更に角膜形状をフーリエ解析すると, 非対称性乱視成分や高次不正乱視成分で角膜不正乱視が評価できる。角膜不正乱視に対する白内障手術では苦慮することが多い。眼内レンズ(IOL)度数計算の問題もその一つであるが, CASIAを用いると正確な角膜形状データに基づいたIOL度数を求めることができる。
著者
深川 一史 相川 竜一 羽場 一直 北川 良子 樋口 国博 泉 道博 森 秀樹 奥村 浩二 石田 聡 足立 幸彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.6, pp.1680-1683, 2012 (Released:2013-06-10)
参考文献数
5

急性感染性心内膜炎は黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌などの強毒性菌によって引き起こされ,高齢者に多いことが知られている.2症例は,20歳と36歳といずれも重度のアトピー性皮膚炎を有する若年患者で,発熱,炎症反応上昇を伴った.経胸壁心エコーにて疣腫と僧帽弁付近の乱流を認め,血液培養検査にてmethicillin-sensitive Staphylococcus aureus(MSSA)が検出され,感染性心内膜炎と診断した.特に症例2では,血液培養と皮膚培養の結果より,感染経路としては皮膚と考えられた.
著者
貝谷 壽宣 難波 益之 加藤 一夫 森 秀樹
出版者
日本組織細胞化学会
雑誌
日本組織細胞化学会総会プログラムおよび抄録集
巻号頁・発行日
no.19, 1978-11-01

ヒト脳の黒質と青斑核の神経細胞には、生後4〜5年からメラニン色素(M)がみられ、加令と共に増加する。本研究ではこれらカテコールアミン産生ノイロンの活動状況を知る目的で、上記部位のM量を定量した。対象は12-82歳の明らかな神経精神疾患を認めなかった40剖検脳を用いた。ホルマリン固定後中脳および橋の中央部を水平断し、パラフィン包埋標本を作製し、各ブロック毎に10μm切片を2枚作り、1枚はニツスル染色を施し細胞がクループの判定に、他の1枚は無染色のまま封入した。無染色標本の黒質と青斑核ではMのみが茶褐色顆粒として検鏡される。この顆粒を走査型顕微濃度計(Nikon Vickers M85)にて定性すると550nm付近にて最大吸光度を示したので、この波長を使用し、バックグランドセット法でMを定量した。1回のスキャンニングに10〜25個の神経細胞が測定できるようシャドウイングした。スキャンニング時間5秒で3回測定し、それを和し、density値をarea値で除した値を各個体間の比較に使用した。対象脳では黒質でも青斑核においてもMは加令とともに増加した。(r=0.72、P<0.001)。
著者
前迫 孝憲 内海 成治 松河 秀哉 西端 律子 小池 敏英 吉冨 友恭 今井 亜湖 シルバ セシリア 重田 勝介 森川 治 森 秀樹 西森 年寿 奥林 泰一郎 中澤 明子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

教育用地域情報基盤としての5GHz帯無線アクセスシステム(包括免許を得て運用)や光ファイバ通信網(地域学校のクラウドコンピューティング・システムによる広域支援等)、衛星通信網(JAXA 超高速インターネット衛星「きずな」を活用したeラーニング実験等)と、それらを相互接続した教育情報基盤の検証や高精細HD 映像による遠隔映像対話環境「超鏡」の開発、特別支援や地域教材におけるネットワークや情報技術の活用を試みた。
著者
中澤 明子 松河 秀哉 奥林 泰一郎 森 秀樹 前迫 孝憲
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.85-88, 2010
被引用文献数
2

日本とシンガポールの学校間において,通常のインターネット回線と低帯域高精細映像伝送方式を用いたところ,2Mbps程度で高精細映像による国際間遠隔学習を行うことができた.映像の遅延は約1秒あったため,生徒からは遅延が気になるという意見も聞かれた.その一方,高精細映像により遠隔地の細かな文字等を含む発表資料がはっきりと見え,高精細映像利用の意義が示唆された.