著者
雨宮 次生 吉田 秀彦
出版者
日本組織細胞化学会
雑誌
日本組織細胞化学会総会プログラムおよび抄録集
巻号頁・発行日
no.19, 1978-11-01

研究目的 : phosphorylaseは, 生体においてはグリコーゲンの分解にのみ作用し試験管内ではグリコーゲンの合成と分解に作用するとされている。本研究では, Phosphorylaseが生体においても合成系酵素として作用する可能性を追求する。方法 : ひよこ視細胞副錐体paraboloidにおいては, in vitroならびにin vivoにおいて組織化学的方法を用いてphosphorylase系より合成された多糖体顆粒と, UDPG系を経て合成された顆粒との間には, 明瞭な形態学的差がある。基質液中のUDPGとG・I・Pの量を変え, pHを変えて反応させた時に生ずる多糖体顆粒の形態を比較し, どの経路から多糖体が合成されたかを推定する。この実験をin vitroおよびin vivoで行い, 結果を比較して生体におけるphosphorylaseの合成酵素たりうる可能性を検討する。結果 : UDPGとG・I・P等量pH5.7〜7.4の間では, 常にG・I・Pから合成されたと考えられる大きな多糖体顆粒が生じる。G・I・PをUDPGの1/4量にしてpH7.4にすると, UDPG系より合成されたと考えられる細顆粒が合成される。in vitro, in vivo共に同一結果をえた。結論 : Phosphorylaseは, 生体においても条件によりグリコーゲン合成に関与する。