著者
南雲 秀次郎 白石 則彦 田中 万里子
出版者
東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林
雑誌
東京大学農学部演習林報告 (ISSN:03716007)
巻号頁・発行日
no.71, pp.p269-330, 1981-12
被引用文献数
1

東京大学千葉演習林スギ林生長試験地の資料に基づき,電算機を用いてスギ林収穫表を調製するシステムを研究した。この収穫表調製システムでは,さまざまな間伐方法のもとで林分から得られる幹材積と利用材積が計算できる。このシステムによる収穫表の調製手順は次の通りである。1.林分の平均直径,その分散,立木密度を組み合せて林分胸高断面積の生長を記述するモデルを確定する。2.上で確定した林分胸高断面積のもとで,林分の直径分布を決定する。この直径分布の関数としては,ワイブル分布を利用する。3.林分平均樹高の生長曲線を決定する。この曲線式としてはミッチェルリッヒ式を利用する。4.樹幹の相対幹曲線式を決定する。この曲線式としては三次の多項式で,いわゆる吉田式と呼ばれる関数を用いる。5.樹高-直径関係を相対化した相対樹高曲線式を決定する。いま,任意の樹幹の胸高直径,樹高をd,hとし,林分の平均胸高直径,平均樹高をそれぞれ〓,〓とすれば,この式は〓となる。ただしa,b,cはパラメター,tは時間である。これらの式を組み合せると次のようにして収穫表を調製することができる。まず,地位,林齢,間伐方法に応じた直径分布を決定し,林分平均樹高を求める。この平均樹高を相対樹高曲線に適用して,実際の大きさをもつ樹高曲線を復元する。この曲線に基づいて,相対幹曲線を利用して径級ごとの細り表をつくる。この細り表によって径級ごとの幹材積および利用材積を計算し,これを全径級にわたって加え合せて収穫表が確定する。以上の手法によって東京大学千葉演習林スギ林収穫表を調製した。利用材積の計算は三種類の木取り法によっておこなった。計算の結果,幹材積で測った平均生長量最大の時期より利用材積で測った平均生長量最大の時期の方が5年から15年程度おそいこと,また,利用材積による金員収穫は木取り法によって大きな差があらわれることがわかった。A computerized system TUSYCS constructing an empirical yield table for sugi even-aged stands was developed on the basis of data from the permanent experimental plots in the Tokyo University Forest in Chiba Prefecture. Using the basic stand variables of age, mean height growth expressed by the so-called Mitscherlich equation, number of stems, basal-area per hectare, taper curve, and relative height-diameter curve, the system predicts the stand diameter distribution, the volume, followed by the assortment of logs produced by a specific log cross-cutting strategy.
著者
NEGISI Ken'itiroo
出版者
東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林
雑誌
東京大学農学部演習林報告 (ISSN:03716007)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.209-222, 1974

アカマツ林の呼吸消費量を推定する基礎資料のひとつとして,10数年生のアカマツの幹と枝の呼吸量をしらべた。幹または枝を年ごとに15~40cmのながさの丸太にきり,23℃の呼吸室にいれ,CO2をのぞいた空気を300~1,200cc/分の流量でおくり,でてくるCO2を赤外線分析器で定量して呼吸量とした。外気温と呼吸室温の差がおおきいばあいは,呼吸量が一定になるのにかなりの時間を必要とするが(Fig. 1),日がたつにつれ,いわゆる傷害による呼吸上昇がめだってくるので(Table 1),各試料木についての測定は伐倒後24時間以内におえた。The respiration rates on a weight basis decrease with increasing diameter both in stem and in branch sections detached from young pine trees, while those on a surface area of outer bark basis do not change in stem sections and increase somewhat in branch ones. Relations between respiration rate (Rs) and diameter (D) are approximately linear on the log-log coordinates and expressed as a simple equation, log Rs=b log D+a respectively. But the individual values show a relatively wide variation probably caused by the difference in rate of diameter growth in sample sections. The respiration rates per unit dimension in dominant trees are higher than in suppressed ones, in other words, the younger the sample, the higher the rates become among the stem or branch sections of the same diameter. And an application of the Rs-D relation will result in an erroneous estimate of the respiratory losses of a stand, unless the differences in growth rate or age are considered.