著者
南雲 秀次郎
出版者
日本林學會
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.346-351, 1982
被引用文献数
2

東京大学千葉演習林の人工林の施業計画を策定した結果に基づいて,森林の法正状態をいかに規定すべぎかという問題について考察した。これまでの諸条件は,法正状態に対して厳しすぎるものであり,これらが満たされない場合でも法正状態にあると考えてよい森林が存在しうることがわかった。そこで,齢級配置からつくられる累積分布を定義し,これに基づいて法正状態か否かを判定する方法を考えた。この方法は森林施業計画を策定するのに有効であることがわかった。
著者
南雲 秀次郎 田中 万里子
出版者
日本林學會
雑誌
日本林学会誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.8, pp.278-286, 1981
被引用文献数
3

地位の異なるスギ林分から採取した樹幹解析木の資料によってスギ林木の相薄幹形を分析し,その結果にもとついて材積表を調製した。中央相対直径&eta;<sub>0.5</sub>の値は,地位が高いほど大ぎくなる。また,林齢に関しては, 40年生までは林齢に応じて高くなりその後は変化を示さないことがわかった。このことは,同一胸高直径,同一樹高の林木でも地位の高いもののほうが,また, 40年生ごろまでは林齢が高まるにつれて,樹幹がより完満になることを意味している。以上の結論と&eta;<sub>0.5</sub>の変化の大きさを考慮して, 40年生以上と以下の2群に分けて吉田式によって相対幹曲線式を決定し村積表の調製をおこなった。また,同一資料に対して山本一シューマッカー式を適用してその精度を比較した。その結果,相対幹曲線武にもとつく方法のほうが精度が若干よいことがわかった。
著者
南雲 秀次郎 白石 則彦 田中 万里子
出版者
東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林
雑誌
東京大学農学部演習林報告 (ISSN:03716007)
巻号頁・発行日
no.71, pp.p269-330, 1981-12
被引用文献数
1

東京大学千葉演習林スギ林生長試験地の資料に基づき,電算機を用いてスギ林収穫表を調製するシステムを研究した。この収穫表調製システムでは,さまざまな間伐方法のもとで林分から得られる幹材積と利用材積が計算できる。このシステムによる収穫表の調製手順は次の通りである。1.林分の平均直径,その分散,立木密度を組み合せて林分胸高断面積の生長を記述するモデルを確定する。2.上で確定した林分胸高断面積のもとで,林分の直径分布を決定する。この直径分布の関数としては,ワイブル分布を利用する。3.林分平均樹高の生長曲線を決定する。この曲線式としてはミッチェルリッヒ式を利用する。4.樹幹の相対幹曲線式を決定する。この曲線式としては三次の多項式で,いわゆる吉田式と呼ばれる関数を用いる。5.樹高-直径関係を相対化した相対樹高曲線式を決定する。いま,任意の樹幹の胸高直径,樹高をd,hとし,林分の平均胸高直径,平均樹高をそれぞれ〓,〓とすれば,この式は〓となる。ただしa,b,cはパラメター,tは時間である。これらの式を組み合せると次のようにして収穫表を調製することができる。まず,地位,林齢,間伐方法に応じた直径分布を決定し,林分平均樹高を求める。この平均樹高を相対樹高曲線に適用して,実際の大きさをもつ樹高曲線を復元する。この曲線に基づいて,相対幹曲線を利用して径級ごとの細り表をつくる。この細り表によって径級ごとの幹材積および利用材積を計算し,これを全径級にわたって加え合せて収穫表が確定する。以上の手法によって東京大学千葉演習林スギ林収穫表を調製した。利用材積の計算は三種類の木取り法によっておこなった。計算の結果,幹材積で測った平均生長量最大の時期より利用材積で測った平均生長量最大の時期の方が5年から15年程度おそいこと,また,利用材積による金員収穫は木取り法によって大きな差があらわれることがわかった。A computerized system TUSYCS constructing an empirical yield table for sugi even-aged stands was developed on the basis of data from the permanent experimental plots in the Tokyo University Forest in Chiba Prefecture. Using the basic stand variables of age, mean height growth expressed by the so-called Mitscherlich equation, number of stems, basal-area per hectare, taper curve, and relative height-diameter curve, the system predicts the stand diameter distribution, the volume, followed by the assortment of logs produced by a specific log cross-cutting strategy.