著者
堀内 英雄 加瀬 武志 井上 義和 望月 芳義 三木 栄治 鈴木 恒夫 五里主 リチャード H. Hori E. Suzuki
出版者
日本爬虫両棲類学会
雑誌
爬蟲兩棲類學雑誌 (ISSN:02853191)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.22-24, 1965-11-15 (Released:2009-03-27)
被引用文献数
2

蛇の登攀性を知るため次の実験を行なった。1)実際の電柱とほぼ同大の模擬円柱を自製し,凸起物をつけず登攀実験を行なった。2)鉄製櫓を自製し,これが登攀性を試みた。3)実際の電柱の登攀性を試みた。以上の実験の結果次のことを知ることができた。1)円柱にもしあろ高さ以内に身を支えるに足る凸起物のない時は蛇は巻きつくことなくして,この円柱に登ることは不可能である。2)凸起物を有しないある直径以上の太さを有する円柱にもまた登ることは不可能である。3)鉄製櫓には容易に登ることができた。4)鉄枠の温度がある温度以上の時には蛇はこの枠に登らない。5)防御器は条件が揃えば有効と認められた。したがって,蛇がある径以上の太さの円柱または平坦な面を登るには体長の1/x以内に身を支える凸起物のあることを必要とし,鉄製物体に対してはある範囲の許容温度があることを確かめることができた。これらの条件は再吟呼を要するものと認む。
著者
西村 三郎 原 幸治
出版者
日本爬虫両棲類学会
雑誌
爬蟲兩棲類學雑誌 (ISSN:02853191)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.31-35, 1967-05-25 (Released:2009-03-27)
参考文献数
15
被引用文献数
1

日本近海産アカウミガメ類の分類学的取扱いが混乱している現状を明らかにし,次のことをのべた。1.日本近海に普通に産し,南日本に産卵のため上陸するいわゆる‘アカウミガメ’の集団は唯1種よりなり,それはolivacea Eschscholtzではなく,caretta Linnéに該当する。2.したがって,この集団の学名としてはCaretta caretta(Linné),そして,和名としては‘アカウミガメ’を用いるべきである。3.いっぽう,Lepidochelys olivacea(Eschscholtz)の日本近海における出現は稀なようで,現在のところ,確実な記録としては,福岡県志賀島および新潟県寺泊での捕獲があるのみである。4.Lepidochelys olivaceaを‘ヒメウミガメ’と呼ぶことを提案する。
著者
大野 正男
出版者
日本爬虫両棲類学会
雑誌
爬蟲兩棲類學雑誌 (ISSN:02853191)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.5-7, 1968-06-20 (Released:2009-03-27)
参考文献数
5

In 1967, the author conducted a herpetolog cal survey of the islands of Niijima, Shikinejima, and Kozushima, which belong to the Izu island chain of Japan.The harpetological fauna of thes islands is very poor, and no amphibians occur, but the author confirmed the occurrence of 4 species of reptiles belonging to 3 families, as listed below.Colubridae1. Elaphe quadrivirgata (Boie, 1826) (Niijima, Kozushima).2. Elaphe climacophora (Boie, 1826) (Niijima, Kozushima).Scincdae3. Eumeces okadae Stejneger, 1907 (Niijima, Shikinejima, Kozushima).Lacertidae4. Takydromus tachydromoides (Schlegel, 1838) (Kozushima).
著者
新美 利
出版者
日本爬虫両棲類学会
雑誌
爬蟲兩棲類學雑誌 (ISSN:02853191)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2-3, pp.14-16, 1969-06-20 (Released:2009-03-27)
参考文献数
12

A morphological study on the monstered tail of two species of Lacertilia was done with X-ray photograph and Mall's alizalin red-S staining method. One of them, Gekko japonicus, has a forked tail, and the other one, Takydromus tachydromoides, has a triple tail. The former's regenerated tail develops at the level of the left transverse process of the 50th vertebra. It shows normal feature in structure. The latter's primary regenerated tail develops at the caudal part of the 33rd vertebra and the secondary regenerated tail develops at the middle part of the primary regenerated tail. It seems to be constituted with cartilage or chondrin. These specimen were collected in Aichi Prefecture.
著者
新美 利
出版者
日本爬虫両棲類学会
雑誌
爬蟲兩棲類學雑誌 (ISSN:02853191)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.24-28, 1970-02-25 (Released:2009-03-27)
参考文献数
5

愛知県半田市にて捕獲したカナヘビ Takydromustachydromoides の精子形成過程を年間各月別に追求した。日本産カナカヘビの精子形成過程には日本産トカゲ Eumeces latiscutatus における如く,明白に季節的変化が存在することが認められた。カナカヘビの生殖期は4月から8月に及ぶがこの期間中に前年に産生貯蔵されていた精子は殆んどすべて排出される。成熟分裂は8月∼9月の間に行われ,9月には精巣内に極めて多数の精細胞像が認められる。11月∼12月,すなわち冬眠期に入るにあたり,産生された精子によって精巣は充たされる。気候,特に気温の変化に伴なって,生殖細胞の活動状態に変化が著明に認められた。