著者
江口 尚
出版者
公益財団法人 産業医学振興財団
雑誌
産業医学レビュー (ISSN:13436805)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.51-76, 2021 (Released:2021-05-13)
被引用文献数
1

近年、難病患者の治療と仕事の両立支援(以下、両立支援)への関心が高まっている。本稿では、難病患者における両立支援に関する国内外の研究の現状を把握することを目的とし、対象疾患を、炎症性腸疾患、多発性硬化症、関節リウマチ、パーキンソン病として、それらの疾患の就労に関する文献レビューを行った。その結果、海外では様々な介入研究が行われているが、我が国においては介入研究がほとんど行われていないこと、就労に影響する要因については共通の部分と疾患特異的な部分があることがわかった。
著者
立石 清一郎 五十嵐 侑
出版者
公益財団法人 産業医学振興財団
雑誌
産業医学レビュー (ISSN:13436805)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.125, 2023 (Released:2023-01-27)

大規模災害発生時には通常時と異なる健康影響リスクが発生する。我が国における防災基本計画には災害時の労働者を守るための方針が示されていない。他国においては、災害時の労働者を健康影響から守ることが基本となっており、我が国においても災害時の労働者の健康を守るための枠組みが提示されることが必要である。災害産業保健派遣チームが結成されたこともあり、災害時の健康影響予防という観点が広まることが期待される。
著者
原田 成
出版者
公益財団法人 産業医学振興財団
雑誌
産業医学レビュー (ISSN:13436805)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.199-216, 2022 (Released:2022-01-18)

生体試料の網羅的解析手法であるオミックス解析は、近年の分析技術の発展とともに、環境曝露のリスク評価に用いられるようになってきた。DNA のメチル化、遺伝子発現、タンパク質、代謝物、DNA 付加体など、様々な生体指標のオミックス解析により、有害物質曝露の網羅的な評価、慢性的な曝露による健康影響の機序解明と早期評価、社会的決定要因の生物学的な評価など、職業性曝露のリスク評価における課題解決に結び付けられる可能性がある。
著者
広瀬 明彦 西浦 博
出版者
公益財団法人 産業医学振興財団
雑誌
産業医学レビュー (ISSN:13436805)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.1-16, 2021 (Released:2021-05-13)

近年、許容値などを設定するための参照値あるいはPODとして、NOAELを用いる手法に変わって、ベンチマークドース法が適用される事例が増えてきている。特に食品関連の化学物質の許容値設定において、欧州食品庁やWHO・FAOの合同専門家会議での用量反応評価ガイドラインでは、ベンチマークドース法の適用がデフォルトとなることが示されている。ベンチマークドース法によりBMDLを算定する手法については、従来は実験データに最も適合する統計モデルを各評価機関が設定したモデル選択規準に従って選定してBMDLを算出していたが、近年は二値データおよび連続値データをモデル化するのに適した標準的な数種の数理モデルを平均化してBMDLを算出することが主流になってきている。さらに実験データに数理モデルを適合させる手法は、従来の頻度論的手法からベイズ推定を用いた手法に代わりつつある。
著者
上野 晋 後藤 元秀
出版者
公益財団法人 産業医学振興財団
雑誌
産業医学レビュー (ISSN:13436805)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.251-262, 2021 (Released:2021-01-08)

化学物質には様々な臓器毒性があるが、神経毒性に関する情報は十分とはいえず、特にヒトでの中枢神経毒性が明らかとなっているものは極めて少ない。しかしながらその中枢神経毒性により、急性曝露では意識障害から生命に危険を及ぼすこと、また慢性中毒では高次脳機能障害を含む中枢神経障害を来すことを想定しなければならない。本稿では今後その中枢神経毒性に注意すべきマンガン、および塗膜剥離剤に焦点を当てて解説する。
著者
唐沢 正義
出版者
公益財団法人 産業医学振興財団
雑誌
産業医学レビュー (ISSN:13436805)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.1, 2020 (Released:2020-05-08)

国際的な及び主要な国別の労働安全衛生統計を概観し、ILOSTAT(国際労働機関統計)におけるSafetyandHealthatWork(職場における労働安全衛生統計)及びEurostat(欧州連合統計)におけるHealthandsafetyatwork(hsw)(健康安全統計)の使い方、国際的な及び国別の労働安全衛生統計(その解説等を含む。)の調べ方のコツ及び見方(見るべきポイント)、これらの著作権(copyright)等に関して解説した。また、国際的な並びに主要な国別の労働安全衛生統計の代表的なものの例及びこれらの情報ソースを紹介した。