- 著者
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大城 建夫
- 出版者
- 沖縄国際大学
- 雑誌
- 産業総合研究 (ISSN:13405497)
- 巻号頁・発行日
- vol.13, pp.1-11, 2005-03
減価償却制度の実態では、多くの会社が減価償却制度の見直しを求めていることを指摘した。減価償却に関する会計基準の具体的会計処理法が、まだ不十分であることを指摘せざるを得ない。減価償却の会計実務における税法との係わりを考えると、確定決算基準は基本的に維持されることが望ましいと考える。建物の定額法の限定した適用問題は、十分な実態調査に基づく定率法の減価償却方法の選択も認めていくべきである。定率法の算式の問題点は、わが国では、残存価額が10%となっているため現在は生じていない。しかしながら、最近では、残存価額等の適正化問題が生じており、定率法の算式問題について改めて検討すべき時期にきていると考える。税法が、耐用年数についてかなり詳細な内容になっているのであるが、法定耐用年数と実際耐用年数を比較した実態調査に基づく見直しが必要である。企業に自主的に耐用年数を決定させるために、耐用年数の適用範囲について弾力的に選択できるように認めていくべきである。残存価額と償却可能限度額は、定率法の算式の適用問題とも関わるが、備忘価額1円までの減価償却を税務署長への届出事項として認めていくべきではないかと考える。