著者
森 礼子
出版者
福岡県立大学
雑誌
福岡県立大学看護学部紀要 (ISSN:13488104)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.56-66, 2005-03

TESOL(英語教育学)ではrecastと呼ばれる間違いの直し方がある.本稿ではESL(英語を母語としない学習者に英語圏で教える)教師が,どのような信念を持ち,どのような目的を達成するためにrecastを用いたかを調査した.ここで調査した教師は学習者が間違ってもいいから発言ができるような教室の風土作り,話したいという思いにかられて話し合いに参加するような学習活動の立案と実行,興味を持って学習者の話を聞く,などの目的を持って教えていて,recastはそのようなさまざまな目的を達成しつつ,話し合いを前に進め,言語的に正しい表現を提示するのに適した間違いの直し方であった.この調査は,recast研究では教師自身がどのような信念を持って間違いを直しているかを調査することの必要性を示唆している.
著者
樋口 善之 松浦 賢長
雑誌
福岡県立大学看護学部紀要 (ISSN:13488104)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.65-70, 2003-12-25
被引用文献数
1

大学生における自己肯定感と生活習慣との関連を明らかにすることを目的とした調査研究を行なった.4つの下位領域からなる自己肯定感尺度を用いて京都市の男子学生39名,女子学生66名,合計105名を対象に,質問紙調査を行なった.併せて,生活習慣についても調査した.その結果,1) 大学生の生活習慣において,自己肯定感と関連が見られた生活習慣は,起床形態,夕食摂取形態,食前に「いただきます」と言う,であった.2) 下位領域と関連が見られた生活習慣は,起床形態,朝食摂取頻度,夕食摂取頻度,夕食摂取形態,食前に「いただきます」と言う,食後に「ごちそうさま」と言う,であった.3) 生活習慣との間に最も関連性がみられた下位領域は,『自律』領域得点であった.4) 好ましい生活習慣を守っている者ほど,自己肯定感は高い傾向にあった.
著者
三根 有紀子 佐藤 香代 浅野 美智留 石村 美由紀 吉田 静 鳥越 郁代 野中 多恵子 宮野 由加利 藤本 清美
出版者
福岡県立大学
雑誌
福岡県立大学看護学部紀要 (ISSN:13488104)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.89-99, 2006-03
被引用文献数
1

目的 : 「身体感覚活性化(世にも珍しい)マザークラス」を実践する人材育成のための教育プログラム開発の資料として,福岡市で開催した医療者向けセミナーの評価と考察を行った.方法 : 2006年2月26日に福岡市で行われた「身体感覚活性化(世にも珍しい)マザークラス」医療者セミナーの参加者128名を対象に,質問紙調査を行った.結果 : 質問紙の回収率は93.8%であり,以下のような結果が得られた.1.セミナーの参加動機は「興味・関心」,「マザークラスの変革」,「学びたい・知りたい」が上位を占めた.また,101名(84.2%)がマザークラスの運営に困難を感じていた.2.セミナーの満足度は108名(90.1%)が「満足」と回答しており,その理由として「自分自身が体験できたこと」,「快」,「身体感覚活性化(世にも珍しい)マザークラスを知った・わかった」の3つが上位を占めた.「少し不満」「非常に不満」「どちらでもない」と回答した者は7名(5.8%)であった.3.今回のセミナーを今後のマザークラス運営に「役立てられる」と回答した者は99名(82.4%)であった.活用方法としては「身体感覚の刺激・"感じる"こと」が最も多く,ついで「妊婦同士の交流の場づくり」,「助産哲学・考え方」の2つが占めた.4.今後のセミナーやリカレント教育に参加の意思を持つ者はそれぞれ117名(97.5%),107名(89.2%)と高率であった.結論 : 参加者は現行のマザークラスのあり方を模索し,関心を寄せている現状が明らかとなった.参加者が「満足」であった理由は主催者側のセミナーの目的と一致していた.妊婦あるいはスタッフで参加した者の体験談は,マザークラスの概要や助産哲学理解の一助になっていると考えられる.したがって今回のセミナーの目的は達成されたと考える.しかし妊婦と同様の経験はできたが,根底に流れる助産哲学を用いてマザークラスを実践する段階までには至っていない。その実践の習得には,段階を追った継続したプログラムが必要であることが示唆された.