- 著者
-
澤野 雅彦
- 出版者
- 日本経営学会
- 雑誌
- 經營學論集 第84集 経営学の学問性を問う (ISSN:24322237)
- 巻号頁・発行日
- pp.22-29, 2014 (Released:2019-09-27)
かつて経営学は,メーカーを中心に研究を展開してきたが,近年,産業構造の転換に対応して研究対象を次々多様化し,さまざまな議論を行うようになってきている。もともと,経済学のようにディシプリンが明確な学問ではないだけに,その分,学問性が怪しくなってきているのも確かである。本研究では,経営学成立の経緯を考えることで,経営学の性質を検討して,「コンビナートモデル」と「自動車モデル」の2つの経営学を抽出したが,いずれも,直傭制が成立する20世紀型システムに適合的であることが明らかである。ところが,21世紀に入る頃から,産業構造の転換により,派遣・請負つまり,間接雇用が増えはじめ,経営学が成立する基盤そのものが揺らいでいる。そのため,脱構築なくしては経営学の学問性は疑わしいものとなるであろう。