著者
桑本 裕二 YUJI KUWAMOTO
出版者
東北大学文学部日本語学科
雑誌
言語科学論集 = Journal of linguistic science, Tohoku University (ISSN:13434586)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.25-35, 1998-11-20

日本語に見られる略語のうち、もとの語がいわゆる超重音節を含む場合、分節音削除をともなった特殊な形成を行う。超重音節は一般に避けられる傾向が強く、日本語においてもその構造は様々に論じられてきており、その存在を認めない説もある。本稿では、略語形成の分析から、超重音節は存在することの新たな根拠を提示した上で、超重音節の2音節への再構成は、通常は起こらず、フットが bisyllabicity に従うときにのみ許される過程であることを示す。
著者
文 慶〓 Kyung Chol MOON 東北大学大学院
出版者
東北大学大学院文学研究科言語科学専攻
雑誌
言語科学論集 = Journal of linguistic science, Tohoku University (ISSN:13434586)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.99-109, 1997-12-31

動詞連用形は名詞化する場合があり、これは複合動詞語構造の中でも同様である。この名詞化を、本論では品詞分類の形式的な問題ではなく、語構成構造の中で意味的な側面で捕らえる。本論では後項要素「たてる」を中心に分析を試みたが、その結果前項動詞の連用形が「名詞化する」と「名詞化しない」の二つの種類に別れることがわかった。それによって後項動詞「たてる」の意味機能が前項動詞が名詞化する場合には「意味の強調化」、名詞化しない場合には「確立、完成、結果の出現」になる。