著者
石塚 哉史 小泉 隆文
出版者
日本農村生活研究会
雑誌
農村生活研究 (ISSN:05495202)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.31-36, 2003-03-01
被引用文献数
4

周知の通り、わが国の伝統食品は、食生活の多様化にともない消費率が停滞している。この傾向の要因として高度経済成長期以降に起きた社会生活の変化があげられる。とくに食生活面においては、女性の社会進出による家事の省力化にともなう調理時間の短縮、外食・中食産業の発展による「食の外部化」、「食の洋風化」の進展による若年層の和食離れなどが関係していると思われる。こうした状況は、伝統的な和食食材と位置づけられるこんにゃく製品においても例外ではない。こんにゃく製品は、煮物や鍋物等の食材として消費されていたが、「食の洋風化」、「食の外部依存度の上昇」による影響から、わが国のこんにゃく製品の消費は、1970年代以降は継続して停滞傾向を示している。また昨年(2001)は、BSE(牛海綿状脳症)の影響から、すき焼きの消費量が減少したため、糸こんにゃくの消費動向も同様な動向を示したといわれている。このようにこんにゃく産業を取り巻く環境は厳しいものになりつつあるが、こんにゃく製品に対する消費者の意識と行動に関しては、既存研究もあまり存在しておらず不明瞭な点が多い。そこで本報告は、1.最近のわが国におけるこんにゃく製品の消費動向、2.こんにゃくにたいする消費者意識の特徴、の2点を解明すること、を目的におこなった。
著者
室岡 順一 野崎 壱子
出版者
日本農村生活研究会
雑誌
農村生活研究 (ISSN:05495202)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.42-58, 2008-01-01
参考文献数
8
被引用文献数
3

2005年7月に施行された食育基本法に基づき、2006年3月に食育推進基本計画が策定された。食育推進基本計画は、食育を推進する方策として、栄養バランスが優れた「日本型食生活」の実践、「食生活指針」や「食事バランスガイド」の活用促進などを通じた食生活の改善を掲げている。食生活を改善する具体的な方法の1つとして、食育基本法でも食育推進基本計画でも例示されているものに料理教室がある。たとえば食育基本法の「家庭における食育の推進方策」の中では「親子で参加する料理教室」が挙がっている。このような例示があるだけに、「親子」「キッズ」「米粉」「野菜」「くだもの」「地産地消」を冠した料理教室が各地で多く開かれている。食育基本法、食育推進基本計画が策定されたここ1、2年は、食育のための料理教室が数多く実践された年でもある。2006年度に農林水産省が募集した「民間における食育活動促進支援事業」も、食育の推進活動を支援する補助事業である。類似した他の補助事業と違う点は、「食育実践活動をNPOや消費者団体」など民間団体が主体であること、「『食事バランスガイド』の普及・活用を含む食育活動」に対して補助することである。本研究は、この事業に応募し採択された27提案のうち、大阪市中央卸売市場の青果物卸売業である東果大阪株式会社の提案を対象とする。この提案は、料理教室を通じて参加者に地場野菜の魅力を伝え、参加者が地場野菜を使ったメニューを食卓に出す意欲を高め、ひいては食卓での副菜が安定して増えることを目的とした提案である。本研究は、食育事業としての料理教室への参加者を対象にアンケート調査を実施し、この調査で得たデータの分析を通じて、料理教室が参加者におよぼす食育の諸効果を解明する。
著者
杉原 たまえ
出版者
日本農村生活研究会
雑誌
農村生活研究 (ISSN:05495202)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.10-19, 2010-03-01

「シークヮーサー」という沖縄における生物資源の商品化の過程と問題について、沖縄県大宜味村の役場、JA、農家からの聞き取り調査に基づき考察することを目的とする。