著者
江森 一郎 竹松 幸香
出版者
金沢大学
雑誌
金沢大学教育学部紀要. 人文科学・社会科学編 (ISSN:02882523)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.1-17, 1997-02

幕末の下級武士の間には、儒学や武道などの武士が当然習得すべきとされた分野の他に、さまざまな伝統文化の習得が広く普及していた。加賀藩の場合とくにこの傾向が顕著だったと思われ、謡曲をはじめ、生け花、茶道、笛、算術、囲碁、将棋なども広く普及していた。この論文ではこの度入手した加賀藩与力・中村豫卿の日記の弘化・嘉永年間(1844~53)の部分を主として使い、中村豫卿を中心とした学習・教育や趣味活動の実態の概要を紹介する。
著者
氣多 雅子
出版者
金沢大学
雑誌
金沢大学教育学部紀要. 人文科学・社会科学編 (ISSN:02882523)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.17-37, 1998-02

1950年代末から60年代初頭にかけての実存主義から構造主義へという思想史的転換は、人間中心的な主観主義から、非人称的な構造に優位を置く客観主義への転回として性格づけられてきた。この「構造」の概念はある種の流動性と多様性をもつようであるが、そこに一貫するのは、主体の思索や意志や行動は、社会構造や言語の無意識の構造によって規定されたものであるとする見方である。この状況は、今度は構造という概念の批判と反省の