著者
加藤 智絵里
出版者
Japan Society for Head and Neck Cancer
雑誌
頭頸部癌 (ISSN:13495747)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.337-340, 2005
被引用文献数
2

神戸大学病院 耳鼻咽喉・頭頸部外科にて2002年4月より言語聴覚士が定期的に口腔・中咽頭癌患者の術後摂食・嚥下障害のリハビリテーションに関わっている。術前よりオリエンテーションを実施しており,その内容と利点について述べる。また嚥下リハビリテーションの開始時には耳鼻咽喉科医師と共に嚥下機能評価を行うことや,実際によく実施している間接嚥下訓練と直接嚥下訓練について舌癌(部切,舌半切,舌亜全摘)と中咽頭癌に分けて具体的に紹介する。
著者
長谷川 博 鹿野 真人 佐藤 栄需 金子 哲治 門馬 勉 武石 越郎
出版者
日本頭頸部癌学会
雑誌
頭頸部癌 (ISSN:13495747)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.439-444, 2006-12-25 (Released:2008-05-30)
参考文献数
13
被引用文献数
2 3

高齢者の頭頸部癌治療では副作用が少なく,高い安全性と根治性が要求される。われわれは高齢者口腔癌に対し,ドセタキセル(TXT),シスプラチン(CDDP),ペプロマイシン(PEP),5-FUによるTCPF動注化学療法を行い,その安全性と有効性について検討した。2002年3月から2005年5月までTCPF動注化学療法を行った75歳以上の扁平上皮癌症例10例を対象とした。年齢は75~84歳,平均80歳。部位は舌口腔底8例,頬粘膜1例,上顎歯肉1例。全症例に浅側頭動脈か後頭動脈経由で動注用カテーテルを留置し,TCPF動注化学療法を行い,7例に生検切除を,2例に根治的切除を行った。原発部位に対する効果はCR率80%(8/10),PR率20%(2/10),pathological CR率67%(6/9)であった。副作用は,脳血管障害はなく,動注側の粘膜炎と脱毛が主であり,血液毒性など全身的な副作用はほとんど認めなかった。本療法の有効性と安全性は高く,ハイリスクの高齢者にも根治的治療として適応し得ると考えられた。