著者
崎山 則征 柯 閏聡 澤田 隆介 園山 正史 美宅 成樹
出版者
情報計算化学生物学会(CBI学会)
雑誌
Chem-Bio Informatics Journal (ISSN:13476297)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.69-78, 2007 (Released:2008-03-04)
参考文献数
16

ヒトの全タンパク質において電荷の自己相関関数の計算から、電荷の28残基周期性を持つタンパク質(PCP28)が最近発見された(Ke et al., Jpn. J. Appl. Phys. 2007)。PCP28の主な局在位置は核であった。核PCP28の生物学的意味を考察するために、我々が開発した予測システム(Sakiyama et al., CBIJ., 2007)を用いて、10種類の脊椎動物ゲノムと7種類の非脊椎真核生物から核PCP28を予測した。Swiss-Protデータベースによるとヒトの核PCP28の約90%は転写制御因子と考えられた。次に、脊椎動物ゲノムと非脊椎真核生物ゲノムに含まれる核PCP28の数を比較した。その結果、核PCP28は脊椎動物ゲノムにおいて顕著な増加を示すことが明らかになった。また、核以外のPCP28の割合は全ての真核生物でほぼ一定であった。これは、核PCP28が脊椎動物に特有のタンパク質である可能性を強く示唆している。
著者
渡邉 博文 田中 成典 沖本 憲明 長谷川 亜樹 泰地 真弘人 谷田 義明 三井 崇志 勝山 マリコ 藤谷 秀章
出版者
情報計算化学生物学会(CBI学会)
雑誌
Chem-Bio Informatics Journal (ISSN:13476297)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.32-45, 2010 (Released:2010-04-20)
参考文献数
46
被引用文献数
5 9

先端的な4つの計算法、FMO法、QM/MM法、MM-PB/SA法、MP-CAFEE法を用いてFKBPと10種類のリガンドの結合能を評価し、実験値との相関を比較した。結果として、4つの方法の内、どの方法を用いても実験値と比較的よい相関が得られることを確認した。またこの結果をもとに、どの効果を取り入れることが実験値との高い相関を得るのに重要であるかを議論した。さらに、これらの方法における溶媒効果の取り入れやエントロピーの寄与の重要性について詳しく議論した。計算時間についても検討を行い、最後にタンパク質リガンド結合能計算法の発展について今後の展望を述べた。