- 著者
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川本 茉莉
- 出版者
- 公益財団法人 NIRA総合研究開発機構
- 雑誌
- NIRAワーキングペーパー (ISSN:27582183)
- 巻号頁・発行日
- vol.2, pp.1-19, 2022-01-17 (Released:2022-10-19)
日本が直面する課題について解決策を探るためには、政策に関心を持つさまざまな人々の意見を集約し、それを踏まえた政策ビジョンを構築することが必要だ。本稿では、その第1段階である、後期高齢者医療制度に関する調査について報告する。今回の調査では、後期高齢者を対象とした医療費の窓口負担割合の引き上げに対する賛否に注目し、どのような人がどのような理由で賛成、もしくは反対するのかを探った。また、この議題に関する専門家の論考を読み、熟議や熟慮によって人々の考えがどのように変化するかを検証した。調査の結果、引き上げ賛成・反対派ともに、個人の負担能力に応じた負担をする「応能負担」が多く支持されていることが判明した。それに加えて、賛成派が現制度の問題点や現役世代の負担を懸念している一方で、反対派は低所得者の負担を心配していることが分かった。また熟慮による意見の変化では、もともと自分なりの意見を持っている人は、専門家の論考を読んでも、考えが変わりづらいが、そうでない人は、専門家の論考を読むことで、自分の考えを持つようになることが検証された。