著者
小林 良彰 平野 浩 谷口 将紀 山田 真裕 名取 良太 飯田 健 尾野 嘉邦 マッケルウェイン ケネス 松林 哲也 築山 宏樹
出版者
慶應義塾大学
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
2012

本研究では、18回(全国調査14回、自治体調査3回、国際比較調査1 回)にわたって実施し、下記の新たな知見を得た。(1)投票行動研究から民主主義研究への進化(2)日米韓における代議制民主主義の分析を通した比較政治学 (3)日本の地方自治体レベルにおける代議制民主主義の分析 (4)政治意識の形成と変容の解明(5)マルチメソッド比較による新しい調査方法の確立 (6)政治関連データベースの構築。これらを通して、海外の研究機関から申し入れを受け、代議制民主主義に関する国際共同研究拠点を構築した。
著者
佐々木 毅 福元 健太郎 中北 浩爾 谷口 将紀 成田 憲彦
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

1 1996年度に引き続き、政治改革に関する一次資料を収集・複写し、目録を作成した。本年度は、とくに国会審議関係の資料、第八次選挙制度審議会関係の資料、マスコミ関係の資料、および政治改革推進協議会(民間政治臨調)関係の資料を充実させることができた。その結果、昨年度以来収集した資料は約1000点に達した。これらの資料は、現在「政治改革ア-カイヴ」として東京大学法学部研究室内に暫定的に保管してある、今後、最終的な収納先および公開方法について検討する予定である。2 上記ア-カイヴを主たる素材として、政治改革に関する政治過程の分析を行うための「政治改革研究会」が、研究分担者・および8名の研究協力者(飯尾潤、岩井奉信、野中尚人、岩崎健久、濱口金也、内山融、岩崎正洋、川人貞史の各氏、順不同)を得て組織された。具体的な研究項目は、竹下〜海部内閣・宮澤内閣・細川内閣の時系列的部分と、自民党・野党・政治改革推進協議会・労働界・マスコミ・選挙制度・政治資金および腐敗防止などのテーマ別部分からなり、それぞれの項目について論文が提出されている。3 研究会の成果を社会化するため、『政治改革の記録(仮称)』編集委員会を断続的に開催し、1998年秋の公刊を目指して作業が進められている。現在は出版社との調整、提出済み論文の検討作業、および掲載資料の編集・インタビュー調査の準備を行っているところである。
著者
谷口 将紀
出版者
公益財団法人 NIRA総合研究開発機構
雑誌
NIRAオピニオンペーパー (ISSN:24362212)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.1-6, 2023-06-23 (Released:2023-06-28)

NIRA総研が2023年2月4日に開催したNIRAフォーラム2023では、テーマ1として「熟議民主主義」について議論した。考え方に大きな世代間格差が存在する少子化政策について合意に達するには、人びとの間での熟議が不可欠である。どうすれば熟議を経た政策決定の仕組みができるか。1つは、新しい視点からの「アジェンダ設定」である。例えば、子育て支援では「人口減少」に直結する問題を設定し、従来の「現世代内」の問題設定でなく、「将来世代も視野に入れた」設定に変化させることが重要である。アジェンダ設定能力を持つ代表的なアクターとしてメディアがあるが、そこでの人材の成熟も不可欠である。もう1つは、「熟議プラットフォーム」の再構築であり、IT技術の寄与も期待される。兵庫県加古川市では、インターネットプラットフォームを活用した熟議の実践例がある。このような熟議は、国全体レベルの政策課題の場合には難しい面もあるが、地方自治体主導での熟議が国政レベルの議論につながる可能性もある。他方、政治が安定的で政権交代がほぼ起きず、行政が現場から得られる生きた情報を政治にぶつける力が弱まっているといった現状の日本の統治システム自体が、熟議による政策決定を阻んでいる懸念もある。
著者
藤原 帰一 久保 文明 加藤 淳子 苅部 直 飯田 敬輔 平野 聡 川人 貞史 川出 良枝 田邊 國昭 金井 利之 城山 英明 谷口 将紀 塩川 伸明 高原 明生 大串 和雄 中山 洋平
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-10-31

危機管理の政策決定と、それが政治社会にもたらす効果について、多角的な実地調査とデータ収集を行うとともに、三つの理論的視点、すなわちセキュリタイゼーション研究、危機管理研究、そして平和構築から分析を進めた。本作業の国際的パートナーがオレ・ウィーバー、イークワン・ヘン、そして、ジョンアイケンベリーであり、この三名を含む内外の研究者と共に2015年1月30日に大規模な国際研究集会を東京にて開催し研究成果の報告を行った。本会議においては理論研究とより具体的国際動向の分析を行う研究者との間の連絡に注意し、実務家との意見交換にも留意した。
著者
谷口 将紀 大森 翔子
出版者
公益財団法人 NIRA総合研究開発機構
雑誌
NIRAワーキングペーパー (ISSN:27582183)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-17, 2022-06-07 (Released:2022-10-21)

社会調査の手法は、人々の生活様式、社会情勢の変化に合わせて多様化してきた。特にインターネット上で回答を行うインターネット調査の登場は、その利便さによって社会調査のスタンダードな方法を変えつつある。本稿では、社会調査における投票率(投票したかどうか)を取り上げ、インターネット調査において投票率を測定するときにどのようなバイアスが考えられるのかを考察した後に、2021年衆院選時に実施したインターネット調査データを用いて、サンプリングバイアス、省力回答者バイアス、社会的望ましさバイアスの補正を試みた。分析の結果、インターネット調査で計測した投票率は、社会的属性によるバイアスよりも社会的望ましさバイアスによって大きく歪められていることが分かった。3種類のバイアスを補正した場合でも測定誤差の4割が埋めきれておらず、非回答バイアスを含む未計測のバイアスの存在が示唆される。
著者
谷口 将紀
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究は、戦後日本における価値変容を時系列的に分析する。経済発展は、直接民主政の安定をもたらすものではなく、市民文化の発達を媒介変数として相互関係にある。また、経済安定は人々の価値観を変え、物質主義的な価値に重きを置かない社会は低経済成長時代を迎えるという意味で、市民社会の価値観と経済もまた、相互関係にある。価値観研究は、現在に至るまでNPCなど新しい概念も生みながら、各国で繰り返し大規模比較調査が行われている、国際的な関心の高い研究分野である。短期間で大きな経済発展を遂げ、また新聞購読率が伝統的に高く、社会調査開始前に遡及した研究が可能な日本は、研究対象・方法の両面でもっとも本テーマに貢献しうるポジションにある。上記の問題意識に立脚して、本年度は以下の各項目について研究を行った。1.従来のワーキングペーパーを大幅に改訂の上、「戦後日本の価値観変化1945〜2000年--新聞社説を手がかりに」(小林良彰・任ヒョク=ひへん(火)に赤赤=伯編『市民社会における政治過程の日韓比較』慶應義塾大学出版会、2006年所収)として公刊した。同論文については、韓国語訳もまもなく刊行される予定である。2.これとは別に、英語論文"A Time Machine : New Evidence of Postmaterialist Value Change"を作成の上、米国・ワシントンDCで開催されたアメリカ政治学会(American Political Science Association)において研究発表を行った。3.学会発表・討論を通じて得られた知見をもとに、上記英語論文を改訂の上、現在海外の某学術雑誌に投稿中である。研究期間終了後速やかな公刊を期したい。以上の作業を通じ、国際比較を拡大させる一方で、研究開始時点以前に遡及できないという制約上従来不可能とされてきた時系列比較を可能ならしめたことにより、内外の価値観研究に新しい資料を提供できたものと思料する。