著者
堀川 悦夫
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese journal of rehabilitation medicine = リハビリテーション医学 (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.127-133, 2020

<p>超高齢社会における移動行動(モビリティ)維持のために自動車運転は,利便性が高い交通手段であり,交通事故の防止は社会的課題である.運転継続の可否判断を行うためのエビデンスが不足している中で,臨床実践現場では神経心理学的検査や運転シミュレータ検査,そして実車運転評価などによって総合的に行われている.事故防止のための感度・特異度がともに高い運転可否判断システムの開発が求められる.一方,年代別の交通事故の統計解析において解決すべき課題もみられるなど高齢者運転の実態に即した分析手法の開発が必要である.いわゆる自動運転技術の開発が進む中で,高齢者運転支援に先進技術の応用も求められている.</p>
著者
根本 明宜
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese journal of rehabilitation medicine = リハビリテーション医学 (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.267-271, 2019

<p>脳血管障害のリハビリテーションは,急性期での早期からの開始,回復期リハビリテーション病棟での十分な量と生活を意識した訓練,社会復帰しての生活期のリハビリテーションと場を変えて行われる.下肢装具は,運動学習のために難易度を調整する道具として,また麻痺による機能障害を代償する道具として重要である.医療保険で給付される治療用装具,生活のために障害者総合支援法で支給される更生用装具があるが,医療施設の連携の中で適切な装具を供給することが必要である.地域連携パスはあるが,装具に関する連携は不十分である.ロボット技術の応用の効果が報告されているが,普及のためには診療報酬での加点など制度の充実が求められる.</p>
著者
木村 浩彰
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese journal of rehabilitation medicine = リハビリテーション医学 (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.53, no.8, pp.610-614, 2016

<p> 外傷や手術後に四肢の激しい疼痛や腫脹を生じることは,反射性交感神経性ジストロフィーや肩手症候群として知られており,近年,複合性局所疼痛症候群(complex regional pain syndrome,以下CRPS)として名称が統一された.CRPSの原因は不明で,早期診断と治療が重要である.CRPSの診断は,外傷や不動化の既往と原因から想像できない疼痛,浮腫,皮膚血流変化からなる世界疼痛学会の診断基準が知られているが,鑑別診断のための診断基準も報告されている.CRPSを疑う状況が発生すれば,確定診断を待つことなく直ちに投薬や神経ブロック,リハビリテーションなどの集学的治療を開始すべきである.</p>