著者
和泉 薫 小林 俊一
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

これまで日本で発生した雪泥流災害を新聞記事データーベース等から選択抽出し、それらについて現地調査を進め実態を明らかにしてきた。平成8年度に得られた知見を以下に記す。雪泥流の発生には、渓流内に雪が貯まっていることと、降雨や融雪による水量の急な増加が条件となる。渓流内の雪は、流水が少ないための自然堆積、雪崩の流下によるデブリ堆積、建物からの屋根雪落下や道路からの除排雪による人為的な堆積の三つに分けられる。このうち、雪崩のデブリが雪ダムとなって渓流を閉塞し、それが決壊して雪泥流になる場合には百mmオーダーの累計降雨量が必要であるが、渓流内の自然積雪の場合には数十mmオーダーの累計降雨量でも雪泥流化することがわかった。昭和43年2月11日滋賀県伊香郡余呉町で10棟が床下浸水となった雪泥流災害は、雪崩で川が堰止められそれが崩れて鉄砲水となったことによると気象庁要覧には記載されているが、実際は堰止めのため川水が溢れ、集落に流出したことが現地調査からわかった。富士山では最近4冬期連続してスラッシュ雪崩が発生しているが、古文書などの文献調査や近年の災害現地調査などにより、富士山で過去に発生したスラッシュ雪崩の16世紀以降の編年史がまとめられた雪泥流の対策としては、その物性の実験的研究から雪泥の流動性が含まれる水の量と関係することから、発生の初期の段階で水をできるだけすばやく抜いて流動性を低下させる方法が有効である。また、雪泥流の衝撃力の特性から、橋桁のように雪泥の凝集構造よりも小さいと考えられる構造物に対しては充分な強度を持たせることが必要なことが明らかにされた。

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こんな研究ありました:雪泥流(Slushflow)災害の発生条件分析と防災対策の検討(和泉 薫) http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/07680483
こんな研究ありました:雪泥流(Slushflow)災害の発生条件分析と防災対策の検討(和泉 薫) http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/07680483

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