著者
小林 俊一
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

水棲生物の中でもイルカの運動能力は高く、胴体を水上に持ち上げる立ち泳ぎができる。しかし、その立ち泳ぎの力学的な解析はされておらず、どのようにしてイルカは立ち泳ぎを実現しているのかが十分に明らかにされていない。そこで、本研究はカマイルカの立ち泳ぎにおける水上と水中における運動挙動を撮影、3次元動作解析によって明らかにし、その胴体を水上に持ち上げる推力を発生するメカニズムを検討した。また、その結果をイルカの尾びれを規範としたフィンを用いた水中推進機構に技術的に移転させ、高推力化を実現させた。
著者
和泉 薫 小林 俊一 永崎 智晴 遠藤 八十一 山野井 克己 阿部 修 小杉 健二 山田 穣 河島 克久 遠藤 徹
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.39-47, 2002-01-15 (Released:2010-02-05)
参考文献数
7

新潟県北魚沼郡入広瀬村の浅草岳において,2000年6月18日,山菜取り遭難者の遺体搬出作業中の捜索・救助隊がブロック雪崩に襲われて4名が死亡した.ブロック雪崩発生前後の映像解析や現地調査から,発生量は32m3(重量21 ton)と算定され,記録上最大規模のブロック雪崩であることがわかった.この地域の山岳地は近年にない多雪で融雪が約1ヶ月遅れ,気温が上昇した5,6月に多量の残雪が急速に融解した.この災害は,急斜面の残雪が融雪末期のいつ崩落してもおかしくない不安定な状態の時に,その直下で多人数が作業を行っていたため発生したものである.運動シミュレーションから,雪渓末端の被災地点における速度は12~35m/s,到達時間は10~33秒と計算された.雪崩に気付くのが遅れたとするとこの到達時間では逃げ切れない.また,雪ブロックの衝撃力は,直径50cmの球形で速度が12 m/sの時でも約3tonfと計算されたので,直撃を受ければ人は死傷を免れないことがわかった.また,これまでほとんど研究がされていないブロック雪崩についてその定義を明確にし,過去の災害事例を調べて発生傾向についても明らかにした.
著者
小林 俊一
出版者
東京大学理学部
雑誌
東京大学理学部廣報
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.23-24, 1991-03
著者
小林 俊一
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
教育総合研究 = Research and Studies in Education (ISSN:24336114)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.13-29, 2020-11-30

日本では公的医療保険制度のために国が薬価を定めて、2年ごとに改定している。その薬価改定の 特徴を抽出するため、1101種類の医薬品の薬価の過去20年間における10回の改定の変動倍率の分布を 調べた。さらに、薬価の価格帯ごとの変動倍率も分析した。その結果、薬価の変動倍率は最近20年間 で0.9倍から1.03倍までの間に集中していることがわかった。また、改定ごとの変動倍率の分布は一様 ではないこともわかった。薬価の価格帯ごとの変化倍率も、その分布は価格帯ごとに形状が異なるこ とがわかった。
著者
吉池 哲也 森川 裕久 孫 啓龍 小林 俊一 中島 求
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
年次大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.89-90, 2008

It is known that a dolphin swims fast and freely in water. The propulsive performance and the kinetic performance of the dolphin are one of great concern among researchers. We paid attention to the dolphin's tail flukes which has an important role to generate propulsive force. So the experiments on both the propulsive force of the outboard propulsor with the oscillating wing which is similar to the dolphin's tail flukes in shape and the velocity of a small boat equipped with the outboard propulsor were carried out. The propulsive performance of the wing was discussed compared with rectangular wings.
著者
小林 俊一 松本 樹典 西岡 勉 篠原 聖二 譽田 孝宏 長屋 淳一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F1(トンネル工学) (ISSN:21856575)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.39-53, 2013 (Released:2013-03-19)
参考文献数
9

日本の開削工事のうち,大深度掘削に対する土留め設計には,梁ばねモデルを用いたフレーム解析(土留め弾塑性解析)が通常よく用いられる.この方法で予測した土留め壁変位量は,実工事での実測変位量よりも大きく,変位モードも異なり,結果として安全設計になる場合が多い.本研究では,地盤と構造物間の相互作用を考慮した土留め設計法を新たに開発することを最終的な目標とし,実際の開削工事現場で計測した土留め壁変位量と比較し,その妥当性を検討した.その結果,従来モデルや提案モデルによる水平変位量は,実測値より概ね大きい傾向にあるが,提案モデルの方が実挙動をより精度よく表現できることが分かった.またこの傾向は,砂卓越地盤よりも粘土卓越地盤の方で顕著であった.以上のことから,提案モデルの優位性を示すことができた.
著者
小林 俊一
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.95-104, 2012-01

二値関数と集合の分割に関する述語論理について成り立つ定理を提案し、その定理の厳格な証明を行った。ここでの述語論理とは「すべての~について」や「ある~について」に関する一階述語論理を指す。本研究の目的の一つは、二値関数に集合の分割の考え方を導入することで、コンピュータの内部で行われる論理動作を、数学的にモデル化することである。デジタルの世界での論理動作を、数学的にモデル化している。
著者
和泉 薫 小林 俊一 秋田谷 英次 西村 浩一
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科学. 物理篇. 資料集 = Data report low temperature science. Series A, Physical sciences (ISSN:03853683)
巻号頁・発行日
no.55, pp.27-45, 1996
被引用文献数
1

明治の後半からの北海道の雪崩情報を新聞から収集した。過去95年間の雪崩災害件数は666件,死者は722人におよんだ。雪崩災害の内容をみると,北海道の開拓の歴史を反映している。明治時代は海岸部の民家の被害が,昭和に入ると鉄道や鉱山が,戦後は森林伐採やダム工事,道路が,さらに近年は登山やスキー関連の事故が目立っている。
著者
吉田 智彦 Anas 小林 俊一
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.78, no.3, pp.395-398, 2009-07-05
参考文献数
5
被引用文献数
1

生物種あるいは品種間の相互関係を表示するために,通常はコンピュータソフトを利用したクラスター分析により樹状図を作成しているが,教育的効果を目的としてコンピュータを用いず手動でクラスター分析をすることを試みた.オオムギ品種間のRAPD分析によるDNA多型データを用いて,品種間で異なるバンドを示したDNAマーカー数(異なるマーカー数)をその品種間での距離とした.まず,異なるマーカー数の最も少ない組合せを選び,それを最初のクラスターとした.次にそのクラスターの平均値からの距離と残りの品種との間の値を計算し直して,第2のクラスターを決定し,順次同様に行っていった.育成地の異なるオオムギの二条,六条種を含む品種間で試みたところ,ほぼ満足すべき結果が得られた.コンピュータソフトを利用した結果とも一致した.本方法では,クラスター分析を手計算で行うことにより,理解が容易であり,教育的効果が大きい.
著者
小林 俊一 中村 八束 不破 泰
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション
巻号頁・発行日
vol.96, no.593, pp.7-14, 1997-03-18
参考文献数
10
被引用文献数
3

本稿では、新しい一般言語「関数形言語」を提案する。この言語は、人工言語のみでなく、自然言語をモデル化することが可能である。自然言語は表現能力は高いが、曖昧であるという欠点を持つ。しかし、自然言語を関数形言語を使ってモデル化した場合には、曖味性がなく論理的な文章を表現することが可能になる。関数形言語は、自然言語に比べて理解しにくく、入力しにくいという欠点を持つ。この欠点を克服するため、ライティングエイドと呼ぶツールを作成した。ライティングエイドは、自然言語を使う形で関数形言語を入力することができる。また、入力した関数形言語から、数ヵ国語の自然言語に翻訳することが可能である。
著者
秋田谷 英次 成田 英器 小林 俊一 和泉 薫 対馬 勝年 石坂 雅昭 楽 鵬飛
出版者
北海道大学
雑誌
低温科学. 物理篇 (ISSN:04393538)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.51-61, 1994-03
被引用文献数
2

中国黒竜江省は冬期の降水は少なく寒冷な気候帯にある。現地で冬期間の気象観測,さらに3月には積雪調査と道路状況を視察した。その結果次の事が明かとなった。積雪が少なく寒冷なため,積雪はしもざらめ雪の発達が著しい。また,しもざらめ雪は結合力が弱いため,いったん堆積した雪が強風下で大陸性地吹雪と呼ばれる吹雪となる。この吹雪が堆積すると寒冷な気象の下で硬しもざらめ雪を形成する。近年,中国では道路交通の重要性が増したが,道路の維持管理や車の性能が冬道には不十分である。そのため,道路上の吹き溜りは量が少なくて大きな交通障害となったり,大事故の恐れがある。その対策には吹き溜り防止工,道路の維持管理および車の冬期装備を考慮しなければならない。
著者
和泉 薫 遠藤 八十一 小林 俊一
出版者
新潟大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1998

雪崩危険地を多く抱える市町村に残る、地名、言い伝え、伝説、災害体験記録、慰霊碑、山林禁伐の掟など雪崩の災害文化に関しての調査研究を行った結果、平成11年度には次のような知見が得られた。江戸時代から、山林の乱伐によって集落が雪崩に襲われ被害を受けたために、集落背後の森林の伐採を厳しく禁じてきた歴史が各地に残されている。そのような災害文化も長年月経って風化してしまうと禁伐林が伐採され、そのため集落雪崩災害が再び発生していることがわかった。禁伐林の歴史は、雪崩災害発生防止には森林が有効であり、その保存・管理が大切なこと、それを忘れて伐採するといつか雪崩災害が発生することを伝えている。かって雪崩災害で多数の犠牲者が出た日を忌み日として精進したり、その日に犠牲者を弔う「講」を行ったりする行事が各地にあることがわかった。また雪崩に襲われても助かるという謂われから旧暦の11月晦日・12月朔日に団子や餅を食べる年中行事を行っている所があることもわかった。これらの行事の時期は雪崩の危険性が考えられる頃で、昔の人はこうした行事を通して雪崩を意識し警戒を喚起したものと考えられる。雪崩にまつわる伝説も各地に数多く残されており、雪崩の発生場所、雪崩埋没時の対処法、表層雪崩の恐ろしさなどを伝承している。実在の雪崩災害の話に誇張やフィクションを交えて作られたこれらの伝説は、単なる雪崩災害の事実だけよりも興味を引くため代々語り継がれ、人々の災害意識を高めてきたものと考えられる。現代では地域社会が大きく変容し、過去の貴重な災害文化が忘れ去られようとしている。本研究でも、すでに文献上でしか把握できない災害文化も多いことがわかった。こうした雪崩の災害文化を、本研究によって可能なかぎり収集し現状を把握できた意義は大きい。今後は雪崩の災害文化の体系化をさらに進め、雪崩防災・減災のための基礎的情報として活用したいと考えている。
著者
安仁屋 政武 幸島 司郎 小林 俊一 成瀬 廉二 白岩 孝行 リベラ アンドレ カサッサ ジーノ 和泉 薫
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1998

1998年は北パタゴニア氷原のソレール氷河とソレール河谷を対象とした研究が行われ、以下のような知見を得た。完新世の氷河変動の研究では、ソレール氷河とソレール河谷のモレイン分布調査から、ヤンガー・ドライアス(約10,500前)と2000BPの氷期が推定されるが、詳しくは年代測定結果が出るのを待っている。ソレール氷河では流動、表面プロファイル、歪みを調査し、さらに水文観測と気象観測を行い、氷河のダイナミクスとの関係を考察した。これにより、底面辷りが流動に大きな割合を占めていることが示された。さらに表面プロファイルの測定から、1985年以来、42m±5m表面高度が減少したことが判明した。年平均に直すと3.2m±5mである。1998年撮影の北パタゴニア氷原溢流氷河末端の空中写真から、1995年(前回調査)以後の氷河変動を抽出した。これによると、1つの氷河(サン・ラファエル氷河)を除き全てが後退していた。さらに1999年撮影の空中写真からは興味深いことが判明した。それは1990年以降唯一前進していたサン・ラファエル氷河が、1998年から1999年にかけて後退したことである。このことから、1990年以降の前進は、従来考えられていた1970年代の雨量増加というよりも、フィヨルドの地形と氷河ダイナミクスによる公算が大きくなった。1999年度の調査は南氷原のティンダール氷河の涵養域(標高1760m)でボーリングを行い、現地観察に加えて46mのアイス・コアの採取に成功した。詳しい化学分析はこれからである。ペリート・モレーノ氷河では写真測量によるカーピング活動の記録と氷河流動の推定、さらに湖面の津波観測によるカービング量の推定を行った。また、氷河周辺の湖の水深を測定した結果、深いところで80m程度であった。同じく、ウプサラ氷河が流入しているBrazo Upsalaの水深を測定したが、深いところは700m近くあり、氷河のカービングとダイナミクス、後退などを解析する上で重要なデータとなる。