著者
永広 昌之 遅澤 壮一 吉田 武義 蟹澤 聰史 越谷 信 川村 寿郎
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

日本列島における異地性地塊の起源を明らかにするために,南部北上古陸を中心にしつつ,東北日本や西南日本の付加体をも含めた地体について,テクトニクス・古生物地理・化成活動などの観点から検討した.南部北上古陸では,オルドビス紀末期〜シルル紀初期に,氷山花崗岩類や正法寺閃緑岩などに代表される,沈み込みに関連する深成火成活動が広範囲にわたってあった.南部北上古陸と西南日本の黒瀬川古陸は,前期古生代以来,同一のテクトニックセッティングの,近接した(同一の?)大陸縁辺域をなしていたと考えられる.南部北上古陸や黒瀬川古陸は,前期石灰紀には古テチスと古太平洋の連結海域にあり,ぺルム紀〜三畳紀には南部北上古陸は華南に近接した低緯度地帯にあったことが,それぞれサンゴおよびアンモノイドの古生物地理データから推定された.飛騨外縁帯の古生物地理や構造発達史は南部北上古陸のそれと大きく異なり,両者は異なった位置やテクトニックセッティングにあった.付加体に伴われる緑色岩類の産状や起源について,変質の影響を見積もった上で,主元素・微量元素組成にもとづき検討した.四万十帯のin situ玄武岩類は,海溝-海溝-海嶺三重点近傍での,海嶺沈み込みにともなう火成活動の産物と考えられる.海嶺が沈み込むと島弧火成活動が中断することに注目すると,in situ玄武岩の活動年代から三重点の移動経路と移動測度が決定できる.このことから,北上・阿武隈帯の白亜紀火成岩類は,115Ma以前に現在の北九州付近で形成されたと推定された.また,北上山地における白亜紀前期の大島造山運動はこの三重点通過にともなう島弧の大規模上昇を示唆している.

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