著者
天野 晶夫 永井 良三 長谷川 昭
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

1. 糖尿病における運動時赤血球酸素運搬能の障害糖化ヘモグロビンの酸素高親和性に注目し、糖尿病において運動耐容能と糖化ヘモグロビンが逆相関することを見出した。さらに、糖尿病ではP50(ヘモグロビンが50%酸素と飽和したときの酸素分圧で、酸素解離シフトを反映)の変化量は少なかった。即ち、運動時酸素解離曲線の右方へのシフトが抑制され、運動耐容能低下をもたらすことが明らかになった。2. 糖尿病における運動時乳酸アシドーシスに対する赤血球酸素運搬能の適応不全嫌気性代謝閾値(AT)以上の運動で発生する乳酸アシドーシスは活動骨格筋でのhypoxiaを代償するためにヘモグロビン酸素解離を促進させるという適応現象を惹起するが、酸素高親和性の糖化ヘモグロビンが高値である糖尿病においてこの現象が生じるか検討した。糖尿病では一定の運動量に対する乳酸値の上昇が大であるにもかかわらず、P50の変化は少なかった。即ち、乳酸アシドーシスによる酸素解離の促進という適応は起こらなかった。この適応不全が運動耐容能の低下の一因と推測された。3. 糖尿病における運動時骨格筋の酸素運搬能の障害糖化ヘモグロビンの酸素高親和性により、運動時の活動骨格筋でも酸素運搬障害が生じるかを明らかにするために、酸素化、脱酸素化ヘモグロビン、組織酸素飽和度の絶対値表示が可能となった新しい近赤外線モニターを用いて検討した。糖尿病では運動時の組織酸素飽和度(SdO2)の低下が軽度で、酸素利用率((SpO2-SdO2)/SpO2)SpO2:パルスオキシメータによる動脈血酸素飽和度)の増加も少なかった。即ち、糖尿病ではヘモグロビン酸素高親和性により運動時骨格筋でも酸素利用能の低下が起こり、運動耐容能低下につながることが明らかになった。

言及状況

Yahoo!知恵袋 (1 users, 1 posts)

HbA1cとは、糖と結合したヘモグロビンのことです。ヘモグロビンとは、血管中で、酸素の多いところでは酸素と結合し、酸素の少ないところでは酸素を放出する、だからこそ酸素運搬能があるのですが、一旦ヘモグロビンが糖と結合してしまうと、もはや酸素運搬の担い手としては機能しません。 下記を参照してください。 http://www.ekinan-clinic.com/ishikaihou/28.html ...

Twitter (3 users, 3 posts, 21 favorites)

収集済み URL リスト