著者
中西 淳
出版者
愛媛大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1997

作文教育を改善していくためには、文章生成過程の心的様相を発達的に捉える基礎研究が必要である。本研究は、この問題意識に基づき、題のつけ方に関する心的様相を発達的に捉え、そこから作文指導のあり方を探っていくことを目的としている。そのために、愛媛大学教育学部附属小学校、3年、4年、5年、6年、同学部附属中学校1年、2年の各1クラスを対象に、ある作文(小学校5年生の生活文=題「小さな私見つけた」、調査対象者には学年・氏名・題名を伏せて提示)を読みそれに題をつけるという活動を行わせる教授調査を実施した。資料を分析した結果、1.題名は、話題に関するもの(例:小さなくつ下など)から、主題に関するもの(例:小さな私、私の成長など)に変わっていく傾向があること、2.題をつけるときには、文章を統一するものを探ろうとする心的作用が働くこと(ただし小学校3年生はそれが十分でないこと)、それを探る観点は、学年があがるにしたがって豊かになっていくこと、3.小学校の高学年になると、題名の読み手に与える効果も考えるようになること、また個性的な題をつけようとする意識が働くようになること、3.題のつけ方に関与する主題把握の有り様は、小学校の高学年に変換点が見られることが確認された。さらに、4.題名に関する作文指導は、何が文章を統一しているのかを考えることになるため、明確な文章を産出する力の育成に重要な役割を果たすことが確認された。

言及状況

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こんな研究ありました:作文教育改善のための生成論的作文指導の研究(中西 淳) http://t.co/HuG5eNot7e

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