著者
牛島 廣治
出版者
東京大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1997

本研究は、治療的ワクチンを含めたワクチンを植物を利用することで開発しようというものである。ワクチンの投与法については経口、経鼻法といった簡便性、日常性をもった方法の検討も研究の目的とする。平成10年までに既に次のことが可能となった。(1)組み込む遺伝子領域とウイルス株の選定:HIVのエンベロープ(gp120)にはエピトープとなる部位が複数あり、抗原性の高い領域である。このgp120遺伝子を組み込む領域とした。マクロファージ親和性ウイルスの1つの株であるBAL株を選んだ。(2)遺伝子の増幅:プライマーの存謹下でPCRをし、目的遺伝子を増幅した。(3)ベクターへの挿入:目的遺伝子をpUC12-35S-NOSプラスミドBamHI切断部位に挿入した(35SプロモーターとNOSターミネーター間に挿入次に、EcoRI、HindIIIで切断し植物細菌アグロバクテリウムのベクターBin19のT-DNA領域に挿入した。(4)細菌への導入と植物への導入:アグロバクテリウム ツメファンテス細菌は自然界では、根頭癌腫病を引き起こし、独特の共存関係を営む。この現象は、アグロバクテリウムが植物に感染するとベクターBin19のT-DNA領域が植物のゲノムに移入されることによるものである。遺伝子を挿入したベクターBin19をアグロバクテリウムに導入した後、アグロバクテリウムを植物に感染させると、先の原理により目的遺伝子は植物のゲノムに移入された。(5)植物の分化・生育:今回は食用植物としてのレタスにHIVエンベロープ(gp120)遺伝子を導入し、カルスから分化させ形質転換植物を得た。(6)レタスの蛋白を葉から抽出し、ELISA法、ウエスタンブロット法でその発現を調べた。HIV抗体陽性血清と反応する蛋白の分画を認めた。このような粘膜免疫システムを応用したワクチン法は、HIVの感染者が増加している国内はもとより、感染が拡がり続けている開発途上国においても重要な戦略になりえるものと考える。

言及状況

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@tokino_kakera >食用植物への遺伝子組込みによるヒトワクチンの開発 牛島 廣治 1997年度~1998年度 http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/09877144 ; ははーん、コレが、あの食べるコメワクチンの原型研究だったのかな?

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