- 著者
-
藤本 憲一
- 出版者
- 武庫川女子大学
- 雑誌
- 萌芽的研究
- 巻号頁・発行日
- 1997
◎本年度研究報告本年度は、最終年度にあたり、大容量のDVDメディアを標準としたデータベース作成を試みた。年頭の計画書に記したとおり、成果の集約をはかった。1)ネットワーク家族の現在形として、「モバイル(携帯)」メディアの使用実態に関するフィールドワークを実施した。また、「携帯電話」と「携帯食(モバイル食・中食)」と呼ばれる、通信と食の領域に関するアンケート調査を実施した。そのなかで抽出された特異なサンプルについては、とくに再度ヒアリングをおこない、生活史的調査をおこなった。2)調査結果に基づき、以上のような考察をえた。・血縁家族を単位とした、家と家との結びつきは、家庭機能の外部化や、冠婚葬祭等コミュニティ行事・イベントの減少に比例して、質量ともにネットワーク力を低下させている。生活史調査によれば、家庭だけでなく、学校や職場等「準-家族的集団」も、ネットワーク力を低下させている。・家族成員は、それぞれ「携帯電話」と「携帯食(モバイル食・中食)」を通じて、家庭外での新しい非血縁コミュニティを形成しつつある。それは、友人というよりも家族に代わる親密な集団、いわば「ネットワーク家族」として機能しつつある。・空間距離学的にいえば、家族という物理的に近い同居集団よりも、「ネットワーク家族」という物理的には離れて暮らす非同居集団のほうが、「リアル」な親密性を獲得し、心理的な距離を縮めつつある。