著者
植野 洋志 武市 陽一郎
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

1.CAD65遺伝子をパン酵母に組み込み、酵母内可溶化タンパク質としてグルタミン酸デカルボキシラーゼを発現する系を作成した。2.発現効率の向上を目指して、培地中に加える炭素元の検討、誘導をかけるためより効率のよい誘導因子の探索、ベクターの変更、プロモーターの変更、ターミネータの変更、及び宿主の変更を行った。3.発現タンパク質の安定性に関わる因子について見当を行った。熱安定性について調べた結果、発現タンパク質は40℃に置くことで失活するが、基質アナログ、特に拮抗阻害剤、の存在下では顕著な熱安定性を示した。この結果より、基質アナログはGAD65の構造安定化に寄与し、その抗原性を長期にわたり保持できる可能性を示唆することができた。4.GAD活性の測定は従来より放射性同位元素であるC-14でラベルされたグルタミン酸を気質として用い、遊離の二酸化炭素中の放射線量を定量する手法がとられてきた。放射性同位元素の使用は環境問題とも関連して避けたいのでこれに代わる高感度で簡便な二酸化炭素測定装置の開発を行った。その結果、マイクロキャピラリー管と光センサー・カウンターの組み合わせが有効であることが判明し、現在さらなる改良を加えている。5.我々が開発した発現系は外来タンパク質の発現に有効利用できることをヒト由来のヒスチジンデカルボキシラーゼを発現することで示すことができた。これにより、従来困難であった微量タンパク質の大量培養・精製に応用できると考える。

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1999 グルタミン酸デカルボキシラーゼの大量生産・精製系の確立と糖尿病診断 #デカルボキシラーゼ #脱炭酸酵素 https://t.co/GQV3WpbznT

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