著者
渡辺 祐子 早川 潔 植野 洋志
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.59, no.12, pp.999-1004, 2008 (Released:2010-07-29)
参考文献数
18

The effect on the bitterness and taste of tea was studied of fermenting non-sterilized leaves with Aspergillus. A treatment with A. oryzae reduced the levels of both epigallocatechin gallate (EGCg) and epicatechin gallate (ECg), which tend to give a strongly bitter taste, and increased the levels of epigallocatechin (EGC) and epicatechin (EC) that can be easily ingested. The treatment also increased the levels of amino acids like Glu and Asp that are responsible for the umami taste. The results suggest that fermenting leaves with A. oryzae may provide a better taste and improve the ease of absorption of tea.
著者
植野 洋志 武市 陽一郎
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

1.CAD65遺伝子をパン酵母に組み込み、酵母内可溶化タンパク質としてグルタミン酸デカルボキシラーゼを発現する系を作成した。2.発現効率の向上を目指して、培地中に加える炭素元の検討、誘導をかけるためより効率のよい誘導因子の探索、ベクターの変更、プロモーターの変更、ターミネータの変更、及び宿主の変更を行った。3.発現タンパク質の安定性に関わる因子について見当を行った。熱安定性について調べた結果、発現タンパク質は40℃に置くことで失活するが、基質アナログ、特に拮抗阻害剤、の存在下では顕著な熱安定性を示した。この結果より、基質アナログはGAD65の構造安定化に寄与し、その抗原性を長期にわたり保持できる可能性を示唆することができた。4.GAD活性の測定は従来より放射性同位元素であるC-14でラベルされたグルタミン酸を気質として用い、遊離の二酸化炭素中の放射線量を定量する手法がとられてきた。放射性同位元素の使用は環境問題とも関連して避けたいのでこれに代わる高感度で簡便な二酸化炭素測定装置の開発を行った。その結果、マイクロキャピラリー管と光センサー・カウンターの組み合わせが有効であることが判明し、現在さらなる改良を加えている。5.我々が開発した発現系は外来タンパク質の発現に有効利用できることをヒト由来のヒスチジンデカルボキシラーゼを発現することで示すことができた。これにより、従来困難であった微量タンパク質の大量培養・精製に応用できると考える。
著者
渡辺 祐子 早川 潔 植野 洋志
出版者
日本茶業学会
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.107, pp.107_61-107_69, 2009-06-30 (Released:2011-12-09)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

乳酸菌による茶葉中でのγ-アミノ酪酸(GABA)の生産を目的に,新たにGABA生産性の高い菌を検索すると共に,乳酸菌の茶葉中での生育条件とGABA生産及び緑茶カテキンの変化について検討した。その結果,GABA生産性の高い乳酸菌L.brevis L12を得ることができた。さらに,L. brevis L12を10%茶懸濁液中で25°C,4日間培養することにより,ギャバロン茶とほぼ同量のGABAを含む新しい茶を作ることが可能になった。しかし,乳酸菌の生育向上の為グルコースを添加した場合,GABAは生成しなかった。GABAの豊富な茶葉生産時,茶葉中のグルタミン酸から理論変換量以上のGABAが得られた。原因として,茶葉中のグルタミン酸のアミド誘導体がグルタミン酸を経てGABAとなっている可能性が示唆された。
著者
植野 洋志
出版者
大阪医科大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

ゴシポールの多岐にわたる作用機構の解明の為に、二枚貝であるSpisula solidissimaの精子をモデルとして実験を進めた。まずは、精子の細胞膜表面に存在するゴシポールの受容体と思われるタンパク質の同定を目標とした。Spisulaより多量の精子を採取し、Triton X-100を含む緩衝液で精子を処理後、可溶化されたタンパク質の精製をアフィニティーカラムを使って試みた。アフィニティーカラムには、ゴシポール、および、ゴシポールの酸化物であり、精子とのインターラクションの後、誘導されると思われるゴシポロンを幾種かの市販のアフィニティーゲルにカップリングさせたものを準備した。SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法による解析の結果、幾種の特徴的なバンドが観測された。その内、3種類のタンパク質をゴシポール受容体として精製をおこなった。ゴシポールの構造類似化合物および誘導体と精子との相互作用を検討した。これにより、ゴシポールの構造上、どの部位がその生理作用発現に関与するかを知る事ができると考えた。20種近い構造類似物および誘導体が及ぼす精子の運動能力、酸素消費量、そして卵子との受精効率への効果を比較検討した。その結果、アルデヒド基の存在は全ての生理作用に必須であり、受精効率と構造上との間での相関はなかったものの、ゴシポロンの生成には第2芳香族環に存在する水素原子の存在が必要であることが判明した。ゴシポールのもつ生理作用をより深く理解する意味で精子運動を阻害する他の化合物、例えばカルシウムチャンネルブロッカーやtricyclic antidepressant剤の作用を検討した。これらの試薬とゴシポールとの拮抗作用も検討した。近年、生殖のメカニズムに神経伝達物質であるGABAおよびGABAの合成を司るグルタミン酸デカルボキシラーゼの関与が示唆されており、我々は偶然に抗グルタミン酸デカルボキシラーゼ抗体が前出のゴシポール受容体タンパク質の一部と反応することを見つけた。現在、その意味合いを解明中であるが、GABAを通じての精子運動の制御機構は未だ知られておらず今後の課題として興味深い。