著者
信原 幸弘
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

意識の自然主義的理論を構築するため、感覚質の自然化の問題と無意識的過程の本性をめぐる問題に取り組んだ。その結果、以下のような成果が得られた。1.意識的経験にはそれ自体に備わる内在的特徴とそれによって表される志向的特徴がある。感覚質は経験の内在的特徴ではなく、志向的特徴である。われわれは経験の内在的特徴を意識しえない。経験がある志向的内容をもつことはその経験がある一定の機能をもつこととして説明できるから、志向的特徴である感覚質は経験の機能に還元できる。2.感覚質は意識的経験の意識性を保証するものである。しかし、感覚質が経験の志向的特徴にすぎないとすると、同じ志向的特徴をもつ無意識的な経験が存在しうるから、感覚質は意識性を保証しえなくなる。したがって、感覚質は経験の「意識的」な志向的特徴だと言わなければならない。この「意識性」は言語化可能性として自然主義的に説明できる。言語こそ意識の根源であり、言語をもたないものは意識をもちえない。3.意識的な思考過程は言語的であり、したがって古典計算主義的である。しかし、無意識的な思考過程はニューロン群の興奮パターンの変形というコネクショニズム的な過程である。したがって、たとえば善悪の判断や文法的適格性の判断などは、意識的に行なわれる場合には、古典計算主義的であるが、直観的に行なわれる場合には、コネクショニズム的である。ただし、言語を用いて意識的に推論する場合でも、日常的な推論においては、ふつう多くの論理的飛躍があり、厳密な意味では、古典計算主義的とはいえない。

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