著者
楠見 孝 子安 増生 道田 泰司 MANALO Emmanuel 林 創 平山 るみ 信原 幸弘 坂上 雅道 原 塑 三浦 麻子 小倉 加奈代 乾 健太郎 田中 優子 沖林 洋平 小口 峰樹
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究は,課題1-1「市民リテラシーと批判的思考のアセスメント」では市民リテラシーを支える批判的思考態度を検討し,評価ツールを開発した。課題1-2「批判的思考育成のための教育プログラム作成と授業実践」では,学習者間相互作用を重視した教育実践を高校・大学において行い,効果を分析した。課題2「神経科学リテラシーと科学コミュニケーション」では,哲学と神経生理学に基づいて推論と情動を検討した。さらに市民主体の科学コミュニケーション活動を検討した。課題3「ネットリテラシーと情報信頼性評価」では,放射能リスクに関する情報源信頼性評価とリテラシーの関連を調査によって解明し,情報信頼性判断支援技術を開発した。
著者
原 塑 鈴木 貴之 坂上 雅道 横山 輝雄 信原 幸弘
出版者
北海道大学科学技術コミュニケーター養成ユニット(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.105-118, 2010-02

Recently, some scientific disciplines have been politically promoted in many countries, because governments believe that they can produce economically profitable knowledge, and that neuroscience belongs to these disciplines. They are aptly characterized by Jerome Ravetz's notion of "post-normal science." It is expected that some knowledge produced by neuroscience may, when applied to the real world, influence social systems and, ultimately, our views on what it is to be human beings, even though it is difficult for us to foresee its concrete impacts. To minimize its unexpected negative effects, even non-specialists need to have neuroscience literacy, which includes not only a basic theoretical knowledge of neuroscience, but also knowledge on its social significance and possible impacts on our self-understanding as human beings. We compiled a textbook of neuroscience literacy, and used it in liberal arts education. In this article, we document our project of education on neuroscience literacy in liberal arts, and discuss its social and epistemological meaning.
著者
永岑 光恵 原 塑 信原 幸弘
出版者
Sociotechnology Research Network
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.177-186, 2009
被引用文献数
2 3

少子高齢化は将来の日本社会を大きく規定する要因であり,ここから生じる諸問題を解決する社会技術の開発は緊急の課題である.基礎科学として発展してきた神経科学も少子高齢化に対応する社会技術として活用されなければならない.そこで,神経科学の社会技術的応用可能性を検討する先駆的試みとして,神経科学的観点から高齢化社会の問題,特に振り込め詐欺の認知上の原因を分析する.振り込め詐欺のうち,オレオレ詐欺,還付金詐欺の被害が最も深刻だが,この被害者の大部分が中高齢者である.中高齢者の意思決定は加齢により自動化していくが,このことが詐欺に対する高齢者の脆弱性の原因となっている.そこで,中高齢者の意思決定上の特徴を考慮して,振り込め詐欺の防止策を提案する.
著者
高橋 哲哉 山脇 直司 黒住 眞 北川 東子 野矢 茂樹 山本 芳久 古荘 真敬 信原 幸弘 石原 孝二
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

旧約聖書の「殉教」物語の検討から、ユダヤ教的「殉教」観念が靖国思想に酷似した犠牲の論理から成り立っていること、キルケゴールがアブラハムによるイサク犠牲の物語に読みこんだ「悲劇的英雄」と「信仰の騎士」の区別は厳密には成り立たないことを確認した。ニーチェがナザレのイエスに見た「根源的キリスト教」は、罪からの解放のためにいかなる贖いも求めない「犠牲の論理なき宗教」だという結論を得た。
著者
信原 幸弘
出版者
The Philosophy of Science Society, Japan
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.1-16, 2014-12-20 (Released:2015-11-08)
参考文献数
15

Delusion involves some anomalous experience, but the twofactor theory claims that a second factor is necessary to explain tenacity of delusion. In order to explore what the second factor is, I examine the processes of perception formation, belief formation, and belief evaluation. I conclude that perception formation and belief formation involve no abnormalities while belief evaluation involves an abnormality (the second factor) due to impairment of working memory. This is an abnormality of ignoring a hypothesis which mentions falsity of perception. In addition I suggest that abnormality in belief evaluation must not be severe to explain restrictedness of delusion while abnormality in experience (abnormal existential feelings) must be severe.
著者
石原 孝二 信原 幸弘 河野 哲也 鈴木 晃仁 北中 淳子 熊谷 晋一郎 糸川 昌成 石垣 琢麿 笠井 清登 向谷地 生良
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は4 つの研究領域①生物学的精神医学および認知行動療法の展開による疾患観の変化、②精神疾患症状の現象論的・行為論的・認知哲学的把握、③診断の歴史と科学論、④当事者、家族、支援者の視点:地域社会論と障害学からの検討を設定し、各領域の研究を通じて精神疾患概念の再検討と「精神医学の科学哲学」の展開をはかった。研究の成果は15本の論文と59回の学会等の発表・講演、国際会議Tokyo Conference on Philosophy of Psychiatryの実施などを通じて発表されている。また、本研究の集大成として、全3巻のシリーズ書籍「精神医学の哲学」(仮題)を刊行する予定である。
著者
永岑 光恵 原 塑 信原 幸弘
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.177-186, 2009 (Released:2010-05-14)
参考文献数
37
被引用文献数
2 3

少子高齢化は将来の日本社会を大きく規定する要因であり,ここから生じる諸問題を解決する社会技術の開発は緊急の課題である.基礎科学として発展してきた神経科学も少子高齢化に対応する社会技術として活用されなければならない.そこで,神経科学の社会技術的応用可能性を検討する先駆的試みとして,神経科学的観点から高齢化社会の問題,特に振り込め詐欺の認知上の原因を分析する.振り込め詐欺のうち,オレオレ詐欺,還付金詐欺の被害が最も深刻だが,この被害者の大部分が中高齢者である.中高齢者の意思決定は加齢により自動化していくが,このことが詐欺に対する高齢者の脆弱性の原因となっている.そこで,中高齢者の意思決定上の特徴を考慮して,振り込め詐欺の防止策を提案する.

1 0 0 0 OA 科学の存在論

著者
信原 幸弘
出版者
科学基礎論学会
雑誌
科学基礎論研究 (ISSN:00227668)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.9-15, 1983-12-25 (Released:2009-07-23)
参考文献数
12
著者
信原 幸弘
出版者
日本科学哲学会
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.1-14, 2000-11-25 (Released:2009-05-29)
参考文献数
12

Classical computationalism sees cognition as manipulation of syntactically structured representations while connectionism sees it as transformation of syntactically unstructured representations, namely, activation patterns of neurons. J. Fodor and Z. Pylyshyn argue that connectionism fails because every cognitive ability is systematic so that representations in any cognitive domain are syntactically structured. But I argue that some cognitive abilities are not systematic. Classical computationalism holds only for some cognitive domains. But I do not think that our brain is a hybrid of a classical model and a connectionist one. It is wholly connectionist. Syntactically structured representations exist not in our brain but in our environment as external representations. Consequently, eliminativism is right in that propositional attitudes such as belief and desire do not exist in our brain.
著者
信原 幸弘
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.59, pp.97-114,L13, 2008

Brain science attempts to understand our minds by exploring our brains. What kind of understanding of minds does brain science bring forth? Is it fundamentally different from, or just an extension of, everyday understanding of mind? The aim of this paper is to clarify the relation between these two understandings. Brain science seems to mechanize our minds. It enables us to read or control the mind by treating the brain mechanistically. What, exactly speaking, is it to mechanize the mind? It consists, we may say, in understanding the mind in nomological terms. Brain science explores lawlike relations between brain states and through it attempts to clarify the relations between mental states which correlate with those brain states. So it is the aim of brain science to understand the mind nomologically. As for everyday understanding of the mind, we usually understand it in rational terms by grasping reasonrelations between mental states, though sometimes understanding certain aspects of it nomologically or mechanistically. Here arises the question whether it is really possible to understand the mind both in rational and nomological terms? If rationality is not reducible to nomologicality as Davidson argues in his thesis “the Anomalism of the Mental”, it is not possible to understand the mind nomologically as long as the mind is what is understood in everyday terms. We had better say that brain science, in fact, does not clarify the mind. It merely clarifies the brain.
著者
古荘 真敬 野矢 茂樹 信原 幸弘 高橋 哲哉 梶谷 真司 石原 孝二 原 和之 山本 芳久
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

「感情」現象をあらためて哲学的に吟味することを通して、倫理的価値の発生する根源的な場所を明らかにし、ひいては新たな価値倫理学の基礎づけを試みること、それが本研究の目標であった。われわれは、現象学、中世哲学、心の哲学、分析哲学、現象学的精神病理学、精神分析という、各研究分担者の専門的視座から持ち寄られたたさまざまな「感情」研究の成果を相互に批判的に比較検討することを通じて、人間存在にとっての感情現象の根本的意義(謎にみちたこの世界において行為し受苦するわれわれにとっての感情現象の根本的意義)を明らかにする多様な成果を上げることができた。これにより上記目標の核心部分は達成されたと言いうるだろう。
著者
信原 幸弘
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

心は環境に対する主体の適応を促進するための装置であるという目的論的機能主義の立場から、心の自然化を試みた。とくに志向性と意識の自然化をめぐる諸問題の解決を目指した。その結果、以下のような成果が得られた。1.信念や欲求のような命題的態度とよばれる心的状態は構文論的構造をもち、論理的な推論に従う点に特色がある。しかし、コネクショニズムによれば、脳状態はそのような構文論的構造をもたず、力学的なパターン変換に従う。このことから、命題的態度は個別に脳状態に対応せず、たかだか全体論的に対応するにすぎないことが言える。ただし、意識的な命題的態度に関しては、発話ないし脳の運動中枢の興奮パターンとして個別的に実現されていると考えられる。2.命題的態度は合理性に従うことをその本質とする。そして合理性は一群の規則として体系化できないという意味で非法則的である。従って、命題的態度の目的論的機能は非法則的な合理的機能ということになる。このことから、行為の理由となる信念と欲求は必ずしもその行為の原因とは言えないという、行為の反因果説を支持する論拠が得られる。しかし、このような反因果説につながる非法則的な合理的機能はコネクショニズム的なメカニズムによって実現可能であり、けっして自然化不可能な機能ではない。3.知覚や感覚のような意識的な心的状態はそれに特有の感覚的な質を備えているが、この感覚質は意識的な心的状態の内在的な性質ではなく、その志向的内容に属する性質であると考えられる。このことから、痛みの経験のようなふつう非志向的と解される心的状態も実は志向的であり、痛いという性質は身体の客観的な性質であると考え直す必要が出てくるが、そのような再解釈は十分可能である。
著者
信原 幸弘
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

意識の自然主義的理論を構築するため、感覚質の自然化の問題と無意識的過程の本性をめぐる問題に取り組んだ。その結果、以下のような成果が得られた。1.意識的経験にはそれ自体に備わる内在的特徴とそれによって表される志向的特徴がある。感覚質は経験の内在的特徴ではなく、志向的特徴である。われわれは経験の内在的特徴を意識しえない。経験がある志向的内容をもつことはその経験がある一定の機能をもつこととして説明できるから、志向的特徴である感覚質は経験の機能に還元できる。2.感覚質は意識的経験の意識性を保証するものである。しかし、感覚質が経験の志向的特徴にすぎないとすると、同じ志向的特徴をもつ無意識的な経験が存在しうるから、感覚質は意識性を保証しえなくなる。したがって、感覚質は経験の「意識的」な志向的特徴だと言わなければならない。この「意識性」は言語化可能性として自然主義的に説明できる。言語こそ意識の根源であり、言語をもたないものは意識をもちえない。3.意識的な思考過程は言語的であり、したがって古典計算主義的である。しかし、無意識的な思考過程はニューロン群の興奮パターンの変形というコネクショニズム的な過程である。したがって、たとえば善悪の判断や文法的適格性の判断などは、意識的に行なわれる場合には、古典計算主義的であるが、直観的に行なわれる場合には、コネクショニズム的である。ただし、言語を用いて意識的に推論する場合でも、日常的な推論においては、ふつう多くの論理的飛躍があり、厳密な意味では、古典計算主義的とはいえない。