著者
貴志 俊彦
出版者
島根県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

この4年間、各地の文書(案)を中心に調査、研究するなかで、本研究に関連する文書はアジア諸国だけでなく欧米各国にも膨大にあることを知ることができた。その一部は、概括的なものながら、実際に文書にあたることができ、調査報告も公表した。各地の文書調査を通じて、たんに黄渤海地域に限定されない歴史学上の課題にも直面し、本研究は萌芽的ながらも地域研究、外交史、社会史を交錯させた研究成果としてまとめることができた。さらに、こうした調査を通じて、マルチリンガル・アーカイブの手法による歴史学研究という点で日本はやや遅れをとっていることも痛感され、こうした手法による都市やメディアに関わる研究成果の公表につとめた。本年度の研究では、4年間の研究成果をまとめ、公表することに重点をおいた。実際に、上海及び日本国内の数箇所の研究会で、成果発表をおこない、批判をあおいだ。こうしてまとめた『研究成果報告書』の構成は、次のとおりである。第1章 近代中国における<都市>の成立-不平等条約下の華と洋-第2章 近代天津の都市コミュニティとナショナリズム第3章 帝国の「分身」の崩壊と「異空間」の創出-第一次大戦期の天津租界接収問題をめぐって-第4章 メディア文化とナショナリズム第5章 日中通信問題の一断面-青島佐世保海底電線をめぐる多国間交渉-第6章 天津租界電話問題をめぐる地域と国家間利害第7章 戦時下における対華電気通信システムの展開-華北電信電話株式会社の創立から解体まで-第8章 日中戦争期,東アジア地域におけるラジオ・メディア空間をめぐる政権の争覇第9章 啓蒙と抗日のはざまで-国民政府による電化教育政策をめぐって-4年間で一定の成果を得たとはいえ、課題も残った。例えば、本研究の時期として設定していた1950年代の問題はほとんど触れることができず、第二次世界大戦後の都市やメディアの変化を明らかにできなかった。また、黄渤海地域の都市といいながら、結局中国サイドのそれしか留意できず、朝鮮半島や日本の都市に言及できなかった。こうした課題に対しては、日本を含めた北東アジアの諸地域を意識した研究が必要であると考えている。広範囲な地域における文書調査は今後も続けたい。

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こんな研究ありました:中国黄渤海地域における都市化とメディアの多様化に関する研究(1870〜1954)(貴志 俊彦) http://t.co/ZZjI0srREc
こんな研究ありました:中国黄渤海地域における都市化とメディアの多様化に関する研究(1870〜1954)(貴志 俊彦) http://t.co/ZZjI0srREc

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