著者
小川 宣子
出版者
岐阜女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

卵の調理特性である熱凝固性,乳化性および起泡性を利用した各種卵料理に及ぼす影響について、鮮度の影響,卵液のpH,卵液への食塩・乾燥卵白などの添加物および調理過程における加熱条件を物性および組織構造から中心に調べた。その結果、卵の熱凝固性では卵白の場合は鮮度の影響が大で、鮮度低下により凝固開始温度が高くなることがレオログラフより明らかになった。卵黄ゲルの物性には卵黄球の大きさおよび脂肪球の大きさが関わっていた。熱凝固性を利用した厚焼き卵では弾力のある厚焼き卵を得るためには濃厚卵白オボムチンの構造を維持する程度、卵液と調味料を攪拌することが望ましいことを明らかにすることができた。鮮度が新しい卵で作製した茶碗蒸しは弾力があり、この表面構造は鮮度が悪い卵で作製したものに比べ密な構造をしていた。さらには脂肪球が小さく分散していたことから口触りのいい茶碗蒸しになることが推定でき、これは官能検査の結果から裏付けることができた。種が異なる卵については名古屋コーチン種の卵のゆで卵の卵白,卵黄の硬さは白色レグホンに比べ硬く、弾力は大であった。また、名古屋コーチン種の卵黄を用いたエマルションは白色レグホンに比べ油滴が小さく、岐阜地鶏についても名古屋コーチン種と同様の結果であった。また、標準飼料にビタミンEとリノール酸を添加した飼料を摂取した鶏が産卵した卵は、加熱卵白ゲルの弾性,粘性いずれも普通卵に比べてあまり違いは見られなかったが、生卵黄の粘性は大きく、乳化性も優れ、卵黄ゲルの凝集性も大きかった。これは卵黄球中の脂肪球が小さいことが要因の一つではないかと推定した。

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こんな研究ありました:卵料理及び卵加工品における作製過程条件が品質に及ぼす要因解析(小川 宣子) http://t.co/dQgwbIRdG7

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