著者
青木 一勝
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

古生代日本の形成・発達プロセスを明らかにするため、西南日本外帯に分布する黒瀬川帯中にレンズ状に産するシルル紀花崗岩類(三滝花崗岩類)からジルコンを分離し、LA-ICPMSを用いてU-Pb年代測定を行った。研究試料には、愛媛県西部の三滝花崗岩類模式地の三滝山地域の花崗閃緑岩、九州中央部祇園山地域の花崗閃緑岩、および紀伊半島西部名南風鼻地域の石英閃緑岩とトーナル岩を用いた。1. 三滝花崗岩類は成因の異なる少なくとも2種類の花崗岩類から成る。2. 三滝花崗岩類のうち、閃緑岩類はどの地域においても約445-435Maの明瞭なピークを持ち、古い粒子は含まないことから、オルドビス紀最末期-シルル紀に形成した新規弧地殻であったと考えられる。本研究で得られた結果とこれまで報告されている研究結果を踏まえると以下のことが考察される。3. トーナル岩に含まれる500Ma以前のジルコンは、約445-435Ma花崗閃緑岩類の元となった弧マグマが貫入・定置することにより融解した既存の大陸/弧地殻岩もしくはその砕屑物に由来すると考えられる。4. トーナル岩中に含まれる900-700Maを示すジルコンは、東アジアで唯一同時期の基盤を持つ南中国地塊の基盤岩から由来したと判断されるので、古生代日本は南中国地塊東縁の弧-海溝系であったと考えられる。5. 本研究により、オルドビス紀-シルル紀の南中国地塊東縁の弧-海溝系では当時の弧地殻や堆積体が広く分布していたことが示された。現在の日本列島においてそれら地質体の分布は非常に限られている。恐らくそれらの大部分はシルル紀後の構造浸食によって日本列島の基盤から消滅したと考えられる。

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