著者
佐藤 純
出版者
愛知医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

天気依存性疼痛(天気痛)病態のメカニズムを明らかにする本年度の研究成果は以下の通りである.臨床実験:天気悪化に伴う気圧変化で,痛みなどの症状を示す天気痛被験者において,内耳の血流障害が病態誘導の原因の一つであるかを検討した.まず天気悪化で片頭痛の症状がスタートする患者に対し,簡易型鼓膜温測定装置を使って,日常の左右鼓膜温を任意に測定をしてもらった.日常の鼓膜温に有意な変化は見られなかったが,天気悪化に伴い片頭痛がスタートするタイミングで,左右の鼓膜温に明らかな差が出現した.この差は通常2~3時間以上持続し,頭痛等の症状が消失するタイミングで消失した.そこで,実験的な低気圧暴露が鼓膜温を変化させるかを調べた.天気痛に罹患する4名の被験者に対して,低気圧暴露刺激(1013 Pa から 40 hPa分の減圧)を与えた.鼓膜温を連続測定できるセンサーを鼓膜近傍に留置し連続的に測定した.対象健常人では,低気圧暴露中に鼓膜温に変化は見られなかったが,天気痛被験者4名では左右の鼓膜温は上昇し,0.6~2.5℃程度の左右差が出現した.復圧するとこれらの変化は消失した.以上から,天気痛患者においては,気圧変化によって左右の内耳ないしは脳内血流に差が出現し,それが疼痛出現の引き金になっている可能性が示唆された.動物実験:野性型マウス(オス9匹,メス9匹)に対し,1013 hPaから973 hPaへの低気圧暴露を行い,前庭神経核細胞のc-fos免疫染色を行った.また,低気圧暴露を行わずに静置したマウスについても対照群としてc-fos免疫染色を行った.結果として,低気圧暴露群で,前庭神経核(一部の亜核)におけるc-fos陽性細胞数が両性ともに有意に多いことを確認した.以上から,前庭神経核細胞の一部が低気圧暴露時に興奮していることが明らかとなり,気圧感受システムが前庭に存在するものと考えられる.

言及状況

Twitter (4 users, 4 posts, 2 favorites)

気象病って呼ばれるものが本当かってのが言われてますが、ひとまず哺乳類が気圧の変化を感じることができるってのは研究者間では通説っぽいなぁ。 https://t.co/mpNgJHmBiJ 「動物実験では前庭神経系が気圧変化に対す… https://t.co/XocXVkU8PX

収集済み URL リスト