著者
吉田 真吾 上嶋 誠 中谷 正生 加藤 愛太郎 小河 勉
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

最近,種々の構造探査により,縦波速度(Vp),横波速度(Vs),電気比抵抗などが同一断面上にマッピングされるようになってきた.それら観測可能なVp, Vs,電気伝導度,Qなどから,どのような物質がどのような状態にあり,どのような破壊・摩擦特性をもっているのか推定できるようになることを目指し,室内実験によりVp, Vs,電気伝導度などと,破壊・摩擦特性を様々な条件下で同時測定できる装置を開発した.同時測定が必要なのは,間隙の形状や連結性に依存する物性パラメターは,(特に高温で間隙水が存在する場合,化学反応が活発なので,)温度・圧力を与えても一意に定まるとは限らないからである.高温高圧下で岩石の電気伝導度を測定する場合,金属ジャケットで岩石試料を覆うことになる.そのような状態で岩石試料の伝導度を求めるのに,金属ジャケットを主に流れてきた電流と試料中心部を流れてきた電流を分離し,それぞれガードリングとセンター電極で測定するガードリング法を用いる.ガードリングに流れ込む電流とセンター電極に流れ込む電流を計算し,適切な配置を検討し,昨年度,ガードリングモジュールを設計・製作した.さらにその測定システムを用い,日高変成帯主帯の泥質変成岩類などの測定を行った.ガードリングを用いても金属ジャケットを用いる影響を完全には取り除けないので,見かけ抵抗から試料の真の電気伝導度を算出する補正係数を数値解から求めた.温度は室温から25℃ごと250℃まで,圧力は10MPaから250MPaまで,周波数は周波数1Hz~1MHzまで変化させて測定した.日高変成帯泥質ホルンフェルスの電気伝導度は黒雲母片岩などに比べ非常に高い.一定圧力のもとで,このホルンフェルスの比抵抗は温度上昇とともに増加し,75℃近傍で最大値をとり,その後減少することがわかった.

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