著者
牧 謙一郎 高野 忠 相馬 央令子 石井 健太郎 吉田 真吾 中谷 正生
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.375-384, 2006-03-31 (Released:2010-03-11)
参考文献数
24
被引用文献数
2 6

Electromagnetic emissions observed in a series of rock fracture tests are described. Four kinds of rocks, basalt, gabbro, granite and quartzite were pressed by uniaxial compression to fracture, for all of which many signals were detected at two microwave bands (2GHz and 300MHz). These detected signals consist of intermittent pulses of a short duration. Comparing the microwave records and the observation with a high-speed digital video camera, we found that the pulse signals were generated after the decrease of the axial load, and even after the macroscopic fracture (deformation) was completed. This differs from the occurrence of lower frequency emissions (0.3-300kHz) monitored as well, which became active and was strongest during the load decrease. The occurrence of signals at the two microwave bands did not always coincide, but a signal at 300MHz often followed a signal at 2GHz with a short interval of 50-100ns. An additional detector at 22GHz picked up emissions only for quartzite, which occurred exclusively during the decrease of axial load.
著者
小笠原 宏 川方 裕則 石井 紘 中谷 正生 矢部 康男 飯尾 能久 南アフリカ金鉱山における半制御地震発生実験国際共同研究グループ
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.61, no.Supplement, pp.563-573, 2009-07-31 (Released:2013-11-21)
参考文献数
54
被引用文献数
2 3

Experimental sites with potential earthquakes up to M ∼ 3 in coming few years are known beforehand from mining schedule at 2-3 km depths in South African gold mines, which allows us to deploy various borehole instruments including Ishii strainmeters, geophones, accelerometers and AE sensors. Deployment of these wide-dynamic-range and high-resolution observations in the past 15 years has led to many findings about the earthquake rupture and its preparation stage. High-sampling seismograms obtained at close proximity of M > 1 earthquakes have demonstrated similarities of these earthquakes to natural, greater earthquakes in many aspects, including stress drop, energy efficiency, and complexity of rupture propagation. Some of larger mine earthquakes are preceded by perceivable abnormal seismicity. However, no immediate precursors for earthquakes with M ∼ 2 were observed by our high-resolution strain and AE sensors installed within the dimension of mainshock rupture. In contrast, aseismic strain-step events that we had recently discovered were sometimes preceded by further slower forerunners. Ongoing projects bring in novel technologies such as field-scale AE monitoring and fast-response strainmeters, and novel targets including mines being flooded for closing operation.
著者
吉田 真吾 上嶋 誠 中谷 正生 加藤 愛太郎 小河 勉
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

最近,種々の構造探査により,縦波速度(Vp),横波速度(Vs),電気比抵抗などが同一断面上にマッピングされるようになってきた.それら観測可能なVp, Vs,電気伝導度,Qなどから,どのような物質がどのような状態にあり,どのような破壊・摩擦特性をもっているのか推定できるようになることを目指し,室内実験によりVp, Vs,電気伝導度などと,破壊・摩擦特性を様々な条件下で同時測定できる装置を開発した.同時測定が必要なのは,間隙の形状や連結性に依存する物性パラメターは,(特に高温で間隙水が存在する場合,化学反応が活発なので,)温度・圧力を与えても一意に定まるとは限らないからである.高温高圧下で岩石の電気伝導度を測定する場合,金属ジャケットで岩石試料を覆うことになる.そのような状態で岩石試料の伝導度を求めるのに,金属ジャケットを主に流れてきた電流と試料中心部を流れてきた電流を分離し,それぞれガードリングとセンター電極で測定するガードリング法を用いる.ガードリングに流れ込む電流とセンター電極に流れ込む電流を計算し,適切な配置を検討し,昨年度,ガードリングモジュールを設計・製作した.さらにその測定システムを用い,日高変成帯主帯の泥質変成岩類などの測定を行った.ガードリングを用いても金属ジャケットを用いる影響を完全には取り除けないので,見かけ抵抗から試料の真の電気伝導度を算出する補正係数を数値解から求めた.温度は室温から25℃ごと250℃まで,圧力は10MPaから250MPaまで,周波数は周波数1Hz~1MHzまで変化させて測定した.日高変成帯泥質ホルンフェルスの電気伝導度は黒雲母片岩などに比べ非常に高い.一定圧力のもとで,このホルンフェルスの比抵抗は温度上昇とともに増加し,75℃近傍で最大値をとり,その後減少することがわかった.
著者
中谷 正生 飯尾 能久 小笠原 宏 佐野 修 山内 常生
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

断層の滑り摩擦の絶対値を知るために、来るべき地震の断層のすぐそばに精密温度計のアレーを設置するという世界で初めての観測を行った。南アフリカの金鉱山に、地下3kmでの採掘活動が大規模な地質断層のそばで行われているところがある。我々は、この地点で長さ30m程度の多数のボーリングを行い、コアと、孔内ビデオ映像の詳細な解析により、厚さ20mを超える複雑な断層帯の構造を三次元的に描きだした。その結果、断層帯の片側と母岩の境界の厚さ10cm程度の部分だけが、損傷が激しく、際だった弱面になっていることが見出された。この構造は面をつらぬくボーリング孔がカバーする全範囲(10x10m程度)にわたって連続しており、また、相当に平面的であった。この面を中心に、距離1m以内に多くの温度計を設置することができた。断層帯は、主に母岩の砕屑物が固結した岩石でできていたが、その中で面構造を示す部分はごくわずかであった。数センチの厚みで、剪断の集中による葉状構造が観察される所は他にも数カ所あったが、先に述べたものだけが、ぼろぼろの状態で、全ての掘削孔で、この面を通る部分だけ、壁の材質がリング状に失われていた。連続観測された温度データは非常に安定で、この鉱山で発生が期待されるM2-3クラスの地震が、上述の弱面で起こった場合、その滑り摩擦強度が、実験室から予想される値の1/10程度でも、測定することができるほどである。これは、いわゆる地殻応力問題で取りざたされている断層強度の範囲の全域をカバーできていることになる。地震によって起こった発熱による周辺岩盤温度の時間変化をみるこの観測では、地震後1ヶ月ほどのデータが必要だが、地震の被害を受けやすい断層直上での観測であるため、地震後に観測機器にアクセスできなくなる可能性もある。そのため、データの収録、伝送、電源供給方法は無線を含めた多重化を行った。