- 著者
-
柳町 智治
岡田 みさを
- 出版者
- 北海道大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2004
本科研調査では、日本語の「学習」を「学習者と周囲とのコミュニケーションが環境中の様々なリソースに媒介され変容していくプロセス」として捉え、目本語の使用、学習といった実践のあり方を「具体的な文脈に属する複数の人間、道具のやりとりのダイナミクス」と見なし再考した。具体的には、第二言語話者あるいは日本語母語話者が日常的な実践を行っている場面(理系大学院における実験場面やボクシングの練習場面)をとりあげ、そこで見られるインタラクションをビデオデータの微視的な分析やフィールド調査を通じて詳細に記述、分析するということを行った。その際、(1)人の行動がその場の言語、非言語行動、人工物の使用といったマルチモダルなリソースの並置を通してどのように成し遂げられているのか、(2)何かを学習するということをその文脈で特有のものの見方(professional vision)を学ぶことと捉えた場合、個々の文脈においてそうした「vision」が当事者たちによってどのように提示されその理解が達成されているのか、の2点を分析考察の中心とした。日本語によるインタラクションを「マルチモダリティ」および「vision」の視点から考察した研究はまだほとんど行われていないが、3年間の本プロジェクトでは、日本語第二言語話者と日本語母語話者の相互行為が当該文脈においてどのように成し遂げられ、組織化されているのかの一端を具体的なインタラクションの分析を通して明らかにした。