著者
荒川 慎太郎
出版者
東京外国語大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本年度も昨年度に引き続き、ロシア所蔵西夏語文献の調査、マイクロフィッシュで得たデータの分析と入力作業を行い、研究成果の一部を国際学会で発表した。チベット語文献から訳された西夏語仏典が、本研究のテキストデータの基礎となる。ロシア科学アカデミー東方学研究所サンクト・ペテルブルグ支所において西夏語資料の閲覧・調査を行った。本研究の中心対象は、西夏語訳『聖勝慧彼岸到集頒』上・中・下巻である。本年度はチベット語から翻訳された西夏文の言語学的特徴に関して取り纏めを行い、特に「チベット語風」西夏文の文法的特徴を明らかにした。2006年11月、ロシア、サンクト・ペテルブルグ大学で開催された国際西夏学会("Tangut civilization : scientific traditions and perspective of research")において、"On the "Tibetan-style" Tangut sentences in some Buddhist materials"と題して研究成果の一部を発表した。これは本研究の集成となる、西夏語訳『聖勝慧彼岸到集頒』のテキスト・訳注・研究のプレ・ワークの一つである。本研究の課題の一つは、チベット語がどのように西夏語に翻訳されるかを考察することにあり、その目的のための、西夏語-チベット語逐語訳・対照資料の作成作業は公開に向けてデータを整理中である。本年度は、この他、一般向けの雑誌などに西夏語学、西夏史、考古などの視点から寄稿した。

言及状況

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こんな研究ありました:言語学・文献学的観点からみた西夏とチベットの相関についての基礎的研究(荒川 慎太郎) http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/16720082

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