著者
高野 佐代子
出版者
株式会社国際電気通信基礎技術研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

歌声や発話に関わる声の高さの調節には声帯の長さと張力が深く関わっており、声を高くする際には甲状軟骨の声帯付着部と輪状軟骨の声帯付着部が互いに離れる方向へ運動が生じている。この変化は輪状甲状関節の運動によることが知られているが、この関節運動が回転運動のみなのか、滑走運動も行っているのかについては一致した見解が得られていなかった。また上下方向の滑走運動により声の高さに影響を与えるという理論モデルもあるが、実際の計測結果の報告はない。これまでに輪状甲状関節の運動を詳細に調べるために、MRIを用いて十分な解像度を得られるように撮像装置の改良や撮像方法の開発を行ってきた。本年度は特に3次元パターンマッチングプログラムを作成し、得られたMRIデータから半自動的に正確な位置を推定した。その結果、甲状軟骨はhighでは上方への移動に加え、前方への移動が見られ、また左右方向への移動回転も確認された。輪状軟骨はhighで上昇し、後方への回転に加え、後方への移動も見られた。輪状甲状関節の上下の滑走は0.5mm以下と小さく、前後方向の滑走に比べると影響は小さいと考えられる。前後方向の滑走には左右差が見られ、最大約1.2mmの運動が確認された。以上の結果から、関節の滑走が起こらないとする従来の報告と異なり、中音域における輪状甲状関節の運動は、輪状軟骨の回転と滑走からなると考えられた。これらの結果をMaveba2005において発表した。今後は被験者の数および発声の範囲を増やして関節運動を計測し、、雑誌論文に投稿する予定である。

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輪状甲状関節の回転、滑走、上下運動の高分解能MRI観測 https://t.co/SLpXXxIpfQ この研究でも、「低→高」の発声時に、甲状軟骨は位置の上昇はあれども前への回転はしていない。輪状軟骨は後方へ回転。 また、滑走が1.25mmあったようだが、これは輪状甲状関節のB型およびC型の可能性があるのでは。

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