- 著者
-
後藤 晋
- 出版者
- 大阪大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2016-04-01
平成29年度は(前年度までに開発した)複数の異なる境界条件下における乱流の数値シミュレーションプログラムを実行することで順調に研究を進展させることができた。具体的には、壁乱流の典型例である『平行平板間乱流』、『境界層乱流』、『滑らかな容器内乱流』の大規模数値シミュレーションを実行し、その動力学の解明に向けた研究を進めた。主な成果は以下の通りである。(1)高レイノルズ数の境界層乱流の数値シミュレーションを実行し、得られた乱流の粗視化解析によりこの乱流中の渦の階層構造を同定するとともに、その生成機構を渦力学を用いて解明した。とくに、対数層における小規模乱流渦の生成機構がレイノルズ数の増加とともに質的に変化することを示した。さらに、渦の階層構造の時系列解析(4次元解析)により、渦の生成過程の典型例を示すことができた。(2)平行平板間の発達した乱流を数値シミュレーションし、その渦の階層構造を同定した。また、各スケールの運動が保有するエネルギーと渦の階層との関係を明らかにした。これは壁乱流におけるエネルギーカスケードの物理機構を明らかにするための基盤を与える。(3)平行平板間乱流に輸送される微小固体粒子群の挙動を調べ、そのストークス数依存性を明らかにした。とくに、粒子群のクラスタ構造と渦の階層構造との間の関係を明らかにした。(4)歳差運動をする回転楕円体容器内の乱流の数値シミュレーションを世界で初めて実行し、その3次元の流れ構造を明らかにした。とくに、容器の微小な楕円率が維持される乱流構造に与える影響を明らかにした。