著者
米田 剛 後藤 晋
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

乱流の数理的理解を飛躍させるために、乱流モデルを一切使わずに、非圧縮Navier-Stokes方程式そのものを使った大規模数値計算、及びその数値計算結果に対する純粋数学的洞察を進める。さらに、乱流実験も進め、そのNavier-Stokes乱流の数理的洞察そのものの妥当性を検証する。より具体的には、①3次元Navier-Stokes乱流のエネルギーカスケードのメカニズム解明②流体運動が乱流であるための重要な指標であるzeroth-lawの数理的理解③乱流実験データに基づく、①および②の数理的洞察の妥当性の検証、を進める。
著者
高橋 康夫 後藤 晋 笠原 久臣 犬飼 雅子
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.84, no.3, pp.184-187, 2002-08-16
被引用文献数
2

日林誌84:184〜187,2002北海道富良野市の東京大学北海道演習林において,人工的に凸・平・凹部の三つの微地形を設定した地はぎ処理を1979年8月に行い,各微地形におけるエゾマツ実生の発生定着を22年間にわたり調査した。地はぎ処理を行った翌年の秋までに発生定着したエゾマツ実生の数は微地形によって有意に異なり,他の微地形に比べて平部で少なかった。凹部では最初多くのエゾマツ実生が発生したが,その後急激に減少し,最終的な調査である22年目に残存していたのはごくわずかであった。この要因は,暗色雪腐れ病菌が多く存在するリター層が凹部に堆積し,エゾマツ実生が暗色雪腐れ病に感染したためであると考えられた。本調査地では,地はぎ処理から22年目の現在でも,十分な量のエゾマツ後継樹が確保されており,微地形を設定した地はぎ処理はエゾマツ天然更新の補助作業として有効であると考えられた。現在のエゾマツは,混交したタケカンバの被陰下にあるため,ダケカンバの密度管理が今後の課題である。
著者
山田 徹 後藤 晋吾
出版者
日本ファイナンス学会 MPTフォーラム
雑誌
現代ファイナンス (ISSN:24334464)
巻号頁・発行日
pp.420002, (Released:2020-04-28)
参考文献数
60

財務データベースにある全ての項目を用いて財務シグナルを生成するデータマイニング法を用いて,現行の日本株ファクターモデルの説明力を検証し,今後のモデル改良への示唆を得た.検証対象は主にFama–Frenchファクターモデル群とした.収益性ファクターと低投資ファクターを含む新しいファクターモデルは,これらを含まない3ファクターモデルに比べて財務シグナルのポートフォリオ・リターンをより良く説明する.しかし,ブートストラップ法による検定により,偶然(偽発見)の可能性を勘案した後でも現行のファクターモデルでは十分に説明できないアノマリーがあることがわかった.これら頑健なアノマリーの中には,企業の無形資産投資や経営者の内生的な意思決定を強く反映すると解釈できる財務シグナルが複数見つかった.これらは今後のファクターモデルが織り込んで発展していくべき方向を示唆していると考えられる.
著者
高野 和郎 坂田 暉英 福山 公基 太田 宏 前田 洋 李 雅弘 尾上 保夫 青木 隆一 高場 利博 岩堀 嘉和 松下 功 金子 和義 三富 静夫 唐沢 弘文 藤井 浩一 森本 和大 石井 淳一 上村 正吉 藤巻 悦夫 村田 恒雄 森 義明 菅谷 修一 西堀 実 薄井 武人 安藤 公信 清田 卓也 熊谷 日出丸 前田 正雄 鈴木 庸之 本多 儀一 門馬 満 藤本 昇 安藤 光彦 口石 将博 崔 相羽 高須 克弥 平井 啓 小池 勝 平塚 進 鈴木 武松 土持 喬 初鹿野 誠彦 津田 紘輔 諸岡 俊彦 藤井 陽三 清水 一功 八田 善夫 直江 史郎 坂木 洋 海老原 為博 太田 繁興 佐々木 彰 村山 義治 塚田 政明 清水 晃 山口 明志 江頭 亨 坂本 利正 渡辺 佐 加藤 水木 片桐 敬 吉田 文英 小島 昭輔 新谷 博一 鈴木 孝臣 金沢 英夫 落合 泰彦 堀坂 和敬 藤巻 忠夫 平木 誠一 橋本 敏夫 加藤 国之 石井 靖夫 菅 孝幸 赤坂 裕 今村 一男 甲斐 祥生 中西 欽也 太田 繁興 近藤 常郎 落合 元宏 松井 恒雄 依田 丞司 吉田 英機 丸山 邦夫 池内 隆夫 入江 邦夫 佐々木 彰 清水 晃 鈴木 周一 坂木 洋 塚田 政明 秋田 泰正 森 弘道 天野 長久 本多 平吉 山口 明志 坂本 利正 安達 浩行 草ケ谷 雅志 高野 和郎 中川 克宣 鶴岡 延熹 小野 充 阿万 修二 植原 哲 渋谷 徹 桑原 紘一郎 小黒 由里子 後藤 晋 島袋 良夫 安藤 彰彦 国枝 武幸 今西 耕一 小田切 光男 鄭 政男 佐川 文明 田代 浩二 大瀬戸 隆 菅沼 明人 町田 信夫 前田 尚武 小泉 和雄 鈴木 一 安藤 弘 山崎 健二 井出 宏嗣 福山 公基 木村 明夫 小林 祐一郎 狩野 充二 長嶺 安哉 木村 明夫
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.30, no.12, pp.820-825, 1970
著者
山本 勲 大谷 広伸 後藤 晋太朗 齊藤 啓太 都築 健太郎
出版者
特定非営利活動法人 日本禁煙学会
雑誌
日本禁煙学会雑誌 (ISSN:18826806)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.44-50, 2019-07-10 (Released:2019-10-25)
参考文献数
12

【目 的】 経済学のアプローチから、居酒屋で禁煙を実施した際に、口コミサイトの評価が悪化するかどうかを定量的に明らかにする。【方 法】 飲食店のレビューサイトの口コミ評価や店舗の特性に関する2012年から2016年までのパネルデータ(追跡データ)を構築し、計量経済学の分析手法を用いて、禁煙の実施が居酒屋の人気度に与える影響を統計的に推定した。【結 果】 禁煙や分煙の実施は口コミ評価の得点でみた居酒屋の人気度に対して、統計的に有意な影響を与えていなかった。【考 察】 居酒屋の禁煙実施が顧客からの口コミ評価に影響を与えないという推定結果からは、喫煙環境が顧客の店舗選択の要因になっていない可能性や、たとえ喫煙者の需要が減少したとしても非喫煙者の需要が増加するためにネットでみた需要の変化は生じない可能性が示唆される。【結 論】 居酒屋で禁煙を実施したとしても、顧客からの評価が下がり、喫煙可能な競合店に顧客がシフトし、売上高が減少するとは考えにくい。よって、健康被害を防止することを目的に、政府や自治体、顧客が居酒屋に禁煙や分煙の実施を要請することは、経済学的な観点からみても正当化することができる。
著者
高橋 康夫 後藤 晋 笠原 久臣 犬飼 雅子 高田 功一 井口 和信 芝野 伸策
出版者
日本林學會
雑誌
日本林學會誌 = Journal of the Japanese Forestry Society (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, 2001
参考文献数
29

東京大学北海道演習林 (富良野市) において, 北海道の渓畔林の主要構成種で雌雄異株性の高木であるヤチダモ (<I>Fraxinus mandshurica</I> var. <I>japonica</I>) の性表現とサイズ構造を調査した。天然林に設定された岩魚沢大型試験地 (18.75ha) に存在する胸高直径5cm以上のヤチダモの場合, 個体数は未開花個体135 (19.6%),雌性個体293 (42.6%), 雄性個体260 (37.8%) であり, 開花個体の性比に1:1からの有意な偏りは認められなかった。未開花個体のサイズは開花個体よりも小さく, 開花個体のサイズ構造に雌雄差は認められなかった。27年生と50年生のヤチダモ人工林では, それぞれ525個体中4個体 (0.8%), 558個体中272個体 (48.7%) が開花していた。50年生人工林における未開花と開花個体あるいは雌雄ごとのサイズ構造は, 天然林と同様の傾向を示した。成長および形質が優れた優良木98個体の性比では, 雄性個体が有意に多いことが明らかとなった。ヤチダモは材質や通直性に優れた有用広葉樹であり,林業において性の取り扱いを検討する必要が示唆された。
著者
後藤 晋
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

平成29年度は(前年度までに開発した)複数の異なる境界条件下における乱流の数値シミュレーションプログラムを実行することで順調に研究を進展させることができた。具体的には、壁乱流の典型例である『平行平板間乱流』、『境界層乱流』、『滑らかな容器内乱流』の大規模数値シミュレーションを実行し、その動力学の解明に向けた研究を進めた。主な成果は以下の通りである。(1)高レイノルズ数の境界層乱流の数値シミュレーションを実行し、得られた乱流の粗視化解析によりこの乱流中の渦の階層構造を同定するとともに、その生成機構を渦力学を用いて解明した。とくに、対数層における小規模乱流渦の生成機構がレイノルズ数の増加とともに質的に変化することを示した。さらに、渦の階層構造の時系列解析(4次元解析)により、渦の生成過程の典型例を示すことができた。(2)平行平板間の発達した乱流を数値シミュレーションし、その渦の階層構造を同定した。また、各スケールの運動が保有するエネルギーと渦の階層との関係を明らかにした。これは壁乱流におけるエネルギーカスケードの物理機構を明らかにするための基盤を与える。(3)平行平板間乱流に輸送される微小固体粒子群の挙動を調べ、そのストークス数依存性を明らかにした。とくに、粒子群のクラスタ構造と渦の階層構造との間の関係を明らかにした。(4)歳差運動をする回転楕円体容器内の乱流の数値シミュレーションを世界で初めて実行し、その3次元の流れ構造を明らかにした。とくに、容器の微小な楕円率が維持される乱流構造に与える影響を明らかにした。
著者
森口 喜成 後藤 晋 高橋 誠
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.87, no.2, pp.161-169, 2005-04-01
参考文献数
99
被引用文献数
2

採種園研究に分子マーカーが利用されることにより, 従来技術では制限のあった採種園における構成クローンの同定, 園外からの花粉混入率, 自殖率, 次代に対する各構成クローンの花粉親としての寄与率に関する知見が急速に蓄積されつつある。これらの研究から, 数%程度の誤植, 30%以上の花粉混入率, 5%以下の自殖率が多くの採種園で一般的であることが示された。また, 報告された構成クローンの花粉親としての寄与率は, いずれも均等交配から著しく偏っていた。これらの知見から, 1)採種園構成クローン以外の混入個体を除去するために, 分子マーカーを用いてクローンの配置確認を行う, 2)花粉混入率を低下させるために, 同樹種の少ない場所に採種園を造成する, 着花促進, SMP処理などによって空中花粉中の園内花粉の割合を大きくする, 3)自殖率を低下させるために, クローンあたりのラメート数を少なくする, 4)均等交配を実現するために, 各クローンの雄花着花量を均等化する, 開花期の著しく異なるクローンを除去する, といった遺伝的管理が重要だと考えられた。