- 著者
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折田 明子
湯淺 墾道
- 出版者
- 関東学院大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2016-04-01
本年度は、昨年度実施した文献調査を継続したことに加え、現行の法制度および2018年5月より発効するGDPR、また個々のサービスのポリシーについて調査を行った。その結果、まず死者の権利に関する原則は、英米法系と大陸法系とで異なっていることがわかった。前者では死者の権利については一般に否定的であるが、大陸法系においては死後も一定の範囲で権利性を認める傾向にあった。また、GDPRでは、各加盟国が独自に死者の個人情報の取扱について規制することを妨げないこととなっていた。米国ではアカウントやデータを「デジタル資産」として一体的に法的に保護しようとする動きが比較的早くからあり、パブリシティの権利等の枠組みを活用して当該本人の死亡後も法的に保護しようとする動きもある。どのような制度設計が現実に即し、かつ多様な死生観を包含するものとなるのか、今後検討を進める、次に、個々のサービスを調査したところ、利用者の死亡時のアカウントの扱いを規定しているサービスの多くは、利用者死亡時に故人本人あるいは親族の身分証明を必要とする規定を定めている。そのため、仮名での利用や法律上の氏名・性別を非開示とする利用においては当人の確認ができなくなる。結婚その他のライフイベントで改姓し、法律上の名前と日常生活の名前が違う場合、例えばFacebookでは両者の併記を求めているが、実際の利用者は一方の名前のみを記載している。本人確認につながる個人情報や、見せたくない面を見せないといったプライバシーを保護した上での利用と当人確認を両立させる設計の必要性が見えてきた。