- 著者
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湯淺 墾道
- 雑誌
- 研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:21888647)
- 巻号頁・発行日
- vol.2019-EIP-84, no.16, pp.1-8, 2019-05-27
本稿においては,アメリカにおける選挙のサイバーセキュリティに関する近時の動向について検討する.アメリカにおいては,選挙管理システムが重要インフラ指定を受けており,選挙システムのセキュリティに関する訴訟も提起されるようになってきている.それに加えて 2018 年 9 月に発出された大統領令 13848 により,外国政府または外国人等が選挙に干渉した疑いがある場合に連邦政府が調査を行うことが定められた.調査の対象は,政治団体,選挙運動又は候補者のインフラストラクチャーとされており,選挙管理システムよりも広範となっている.また調査の結果,外国政府または外国人等が選挙に干渉したことが明確となった場合には,経済制裁を行う旨を規定している.本稿では,これらのアメリカにおける選挙サイバーセキュリティ対策の現状とその問題点,日本への含意等についての検討を行うこととする.