著者
酒井 恵美子 中田 敏夫
出版者
中京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

従来、標準語としてはかなり相違の多い国定第Ⅰ期国語読本の言語が6年後の国定第Ⅱ期になると、なぜ標準語との一致を見たのかが問題とされてきた。今回台湾統治資料の中にある台湾読本第Ⅰ期の図書審査審議記録とこの教科書の編纂者と彼らを巡る人々との関係を探ることにより、教科書執筆者はすでにいくつかの文体をかき分けていたこと、図書審査会でも標準語についてまだ厳格な一致がなかったことがわかった。つまり、編纂段階で文体を決定さえすれば、やや冒険的な国定第Ⅰ期の文体も標準語につながる第Ⅱ期の文体も可能だったのである。台湾での決定に影響を与えることができた上田万年、小川尚義についてはさらに考察が必要である。

言及状況

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https://t.co/src8xPw8C4 標準語の成立については従来江戸時代及び明治時代初期の東京における言語の展開や言文一致運動、上田万年をはじめとする標準語論争、国語政策などの研究が行われてきたが、 実態としてどのような経緯を経て標準語に到ったのか、そして全国に広まったのか、未だ不明な点が多い
https://t.co/NQkNdouVC2 明治期台湾統治資料と国内資料からみた標準語の成立に関する研究ってどういう研究なんやろ。 https://t.co/bQeE6Kuy5e 学校方言の成立と展開に関する基礎的研究。こういう研究があるとは興味深い。

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