著者
酒井 恵美子 中田 敏夫
出版者
中京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

従来、標準語としてはかなり相違の多い国定第Ⅰ期国語読本の言語が6年後の国定第Ⅱ期になると、なぜ標準語との一致を見たのかが問題とされてきた。今回台湾統治資料の中にある台湾読本第Ⅰ期の図書審査審議記録とこの教科書の編纂者と彼らを巡る人々との関係を探ることにより、教科書執筆者はすでにいくつかの文体をかき分けていたこと、図書審査会でも標準語についてまだ厳格な一致がなかったことがわかった。つまり、編纂段階で文体を決定さえすれば、やや冒険的な国定第Ⅰ期の文体も標準語につながる第Ⅱ期の文体も可能だったのである。台湾での決定に影響を与えることができた上田万年、小川尚義についてはさらに考察が必要である。
著者
中田 敏夫 酒井 恵美子
出版者
愛知教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、従来「気づかない方言」などとして関心が示されてきた「学校方言」について、学校建築用語に絞り、文献資料と方言資料から総合的に検討することで、個々の学校方言並びに標準語の成立と展開を分析し、その一般的な傾向を導き出すことを目的とした。「屋運」という愛知県一宮市に分布する語形を主な事例として、発生から周辺への広がりの実態とその背景である教育関係資料を渉猟し,縦軸と横軸をつなぎ合わせ、立体的に実証した。その結果、従来日本語資料として看過されてきた教育史資料及び各種法令を現代語研究を進める上で必須の資料群として位置づけ、十分な事例研究数とは言えないが、研究課題については達成できたと考える。