著者
土肥 輝美 高橋 嘉夫 大村 嘉人 町田 昌彦
出版者
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

平成28年度はサブテーマ「地衣類の形態的・構造的特徴による元素の保持特性の違い」を中心に研究を実施した。地衣類は、様々な金属や放射性物質を蓄積・保持することが知られており、環境モニタリング材料の一つとして活用されているが、地衣類の形態や生理的特性に関連してそれらがどのように蓄積・保持されるのか、ほとんど分かっていない。地衣類中の放射能濃度は、核種によって差異が生じることが報告されており、元素種によって地衣類中への取込み・保持メカニズムが異なる可能性が考えられる。また、地衣類中の同一核種濃度の差異については、生育場所における着生方位などの生態的な環境条件や地衣類の種による形態 ・内部構造・生理的な違いなどが影響するものと考えられる。ここで、生態的な差異を排除すれば、地衣類における着目元素種の蓄積・保持能力について、形態的・構造的・生理的特徴による違いが見られることが予想される。本研究では、表面形態および内部組織構造の特徴が明瞭なウメノキゴケについて、被ばく評価上重要なCs, Sr, I(安定元素)の取込み試験を行った。試料は、平成28年に岐阜県で採取したものを使用した。地衣類中のCs濃度はSr濃度の3倍程度高い値を示した。電子線マイクロアナライザにより取込試験後の地衣類組織断面構造の元素分析を行った結果、Cs, Iは皮層への蓄積が認められたのに対して、Srは髄層中に蓄積が認められ、元素種によって地衣類中で保持される場所が異なることを見出した。取込み試験後の試料については、放射光蛍光X線マイクロビームを用いたX線吸収微細構造(EXAFS)の解析により、地衣類中のCs, Sr, Iの近傍情報を取得した結果、水和物や有機分子化合物として存在する可能性が示された。Csと地衣類特有の一部の二次代謝物について、第一原理計算を行い、安定な吸着構造を示すエネルギー差を持つことを見出した。

言及状況

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セシウムボール研究はこの科研費ベースなのか「地衣類における金属蓄積・保持機構の解明と放射性汚染物質降下量評価への適用」Referreed Paper も出てるが、地球化学の学会がまともかトンデモかすら情報もってないので不明じゃ https://t.co/5QiziNec87 https://t.co/F0PjpiITf7

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