著者
坂井 美日
出版者
大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

従来、日本語の格については、諸方言を含め、対格型以外の型は無いと言われてきたが、申請者は、現代方言に対格型とは異なる型が存在すること、具体的には、三立型や、活格的な特殊な型(仮に「分裂S型」。九州方言等に観察される現象で、主語の標示が意志性で分裂し、他動詞文主語と意志自動詞文主語が同標示、非意志自動詞文主語が異標示、他動詞文目的語も異標示となるもの)があることを証明してきた。特に分裂S型は、世界言語にみられる「活格型」とも異なり、「日本語=対格型」という固定概念を変えるばかりでなく、一般言語学にも議論を提示しうる。平成29年度は、九州を中心に調査を進め、前年度までの成果を発展させ、口頭発表および論文の執筆を行なった。昨年度までの調査を通し、九州方言には伝統的に2種の有形主語標示(「ガ」「ノ」)があること、主語はこれらの標示を必須とすること(無助詞が基本的に許容されない)、そして有形主語標示2者の対立により活格性(分裂S型)が見られること確認した。本年度は更に、九州若年層の方言が、無形主語標示(「ガ」も「ノ」も付けない)を獲得しつつあること、その出現の仕方が、活格性(分裂S型)を帯びることを発見した。その成果は、成城学園創立100周年・大学院文学研究科創設50周年記念シンポジウム「私たちの知らない〈日本語〉―琉球・九州・本州の方言と格標示―」(2017/7/2、於成城大学)にて、講演した(「九州の方言と格標示―熊本方言の分裂自動詞性を中心に―」)。また、その成果に基づく論文を、竹内史郎・下地理則編『日本語のケースマーキング』くろしお出版に執筆し、2018年5月現在印刷中である(「熊本市方言の格配列と自動詞分裂(仮題)」)。上記を含め、当該年度の成果を含む論文は3本(2018年5月現在印刷中を含む)、当該年度内の口頭発表3件、2018年5月現在確定している口頭発表2件である。

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日本方言の活格性に関する基礎的研究 https://t.co/trzKlUrGOy こういう話もあることだし、少なくとも活格的であることには間違いないのだろう

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