- 著者
-
坂本 邦暢
- 出版者
- 東洋大学
- 雑誌
- 若手研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2017-04-01
研究計画にそって、16世紀から17世紀にかけての、プロテスタント圏での形而上学・神学の展開を、幾人かの著述家の著作の分析を通して追跡した。まず年度前半には、プロテスタント圏での哲学・神学教育をおおきく決定づけたフィリップ・メランヒトンの著作を分析し、彼が哲学を、神の存在を証明するための重要な集団として位置づけていたことを確認した。次世代のルター派哲学者のヤーコプ・シェキウスも、哲学が神学に寄与できると考えていたが、寄与の内実については、メランヒトンと異なる想定をしていた。シェキウスにとって対処せねばならなかったのは、三位一体論を否定する「異端」の存在であった。この異端を論駁するためには、哲学が不可欠だとシェキウスは説いたのだった。以上の成果は、「聖と俗のあいだのアリストテレス スコラ学、文芸復興、宗教改革」(『Nyx』第4号)として発表した。年度後半は、シェキウスがターゲットとした反三位一体論側の著作を検討した。ファウスト・ソッツィーニは、聖書解釈上の権威を教会がもつことを否定し、理性と文献学にのっとって聖書を読む必要を唱えた。その結果、三位一体と自然神学を否定する学説に到達したのだった。調査の結果、彼の神学は、やがてアルミニウス派の教説の一部と合流し、デカルトの新哲学が現れるにあたっての背景を形成するにいたったことが、明らかとなった。以上の成果は、「デカルトに知られざる神 新哲学とアレオパゴス説教」(『白山哲学』第52号)として発表した。