著者
早尾 貴紀
出版者
大阪経済法科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本科研費による研究活動開始前からの刊行論文も併せて、2008年に単著『ユダヤとイスラエルのあいだ-民族/国民のアポリア』(青土社)を出版した。マルチン・ブーバーおよびハンナ・アーレントという二人のドイツ系ユダヤ人哲学者の模索したバイナショナリズム、つまりパレスチナにおけるユダヤ人とアラブ人の共存思想の展開と隘路を辿った(同書前半)。また、建国後のイスラエルに対して、アイザイア・バーリンやジュディス・バトラー、マイケル・ウォルツァーらリベルラル派のユダヤ人によるイスラエル批判の意義と限界を分析した(同書後半)。そのかん、イスラエル/パレスチナへの研究滞在(主としてヘブライ大学とハイファ大学)および現地からの研究者の招聘(ハイファ大学カイス・フィロ教授)などを重ね、資料調査・研究交流をおこない、上記単著以降の研究の展開を模索した。その成果として、ブーバーやアーレントの同志であった重要人物ユダ・マグネス初代ヘブライ大学学長をはじめとする、建国直前期のヘブライ大学の哲学者たちが、いかに排他的な民族主義に陥ることなく、アラブ人・アラブ文化と共存しながら自らのアイデンティティを保持するのかという課題に取り組んでいたことの意義を分析する論考を発表した。その他、「ディアスポラ」から民族の越境と共存を読み直す共同のプロジェクトに参加し、そのなかでのバイナショナリズムの歴史的意義と現在的可能性を考察する論考を発表した。

言及状況

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こんな研究ありました:ユダヤ思想史における民族と国家:バイナショナリズム運動の挫折をめぐって(早尾 貴紀) http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/19720020

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