著者
武者小路 公秀 宣 元錫 華 立 早尾 貴紀 小倉 利丸 羽後 静子 野田 真里 梶村 美紀 松原 弘子 鈴木 江理子 塩原 良和 金 敬黙 佐竹 眞明 近藤 敦 浜 邦彦
出版者
大阪経済法科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、グローバル移住の女性化が進む日本と韓国両国の移住者コミュニティにおける人間の不安全状況とこれに対応する移住者自身と市民社会のサポーターの活動において、ヴェトナムとフィリッピンを送り出し国として進められた。その結果、移住女性が直面する公共圏と親密圏における諸問題の性格、特に、移住先と故郷との双方を生活圏とする新しい公共、新しい市民像の形成を目指す移住市民との協力活動の重要性が確認された。
著者
内海 愛子 村井 吉敬 鎌田 真弓 加藤 めぐみ 飯笹 佐代子 田村 恵子 永田 由利子
出版者
大阪経済法科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

アラフラ海を中心とする海域に着目し、1)真珠やナマコ等の海洋資源をめぐって織りなされてきた人の移動の諸相を、戦争の影響や国際関係、特に日本、オーストラリア、インドネシア間の相互の関係を踏まえながら明らかにし、2)それを通じて、明治以降から現代にいたる、国家の枠組みからではとらえきれないこの地域の位置づけと意味を探るとともに、3)海域(交流史)研究の新たな展開に向けた論点と可能性を提示した。
著者
武者小路 公秀 浜 邦彦 洪 貴義
出版者
大阪経済法科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、対象も手法も異にする研究者らが領域横断的に協力しあうことによって、さまざまなディアスポラ集団の個別性を捨象することなく、より普遍的な視野から把握できるためのディアスポラ概念を構築することを目的としてきた。この目的のために、本研究では定期的にディアスポラ研究会の定例会を開き、その他にも関連する研究会・シンポジウムを共催してきた。中でも主要なものは、2006年9月に開催したCAPP(大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター)プレシンポジウム「アジアの中のディアスポラ-日本の状況を踏まえて」および、2007年2月に開催したCAPP国際シンポジウム「移住者の人権と多文化共生を目指して-アジアとアフリカのディアスポラの比較」である。後者の内容は、武者小路公秀監修、浜邦彦・早尾貴紀編、『ディアスポラと社会変容-アジア系・アフリカ系移住者と多文化共生の課題』(国際書院、2008年)および、英文報告書Diaspora and the Social Transformation,(CAPP,2008)として刊行した。本研究において議論の焦点となったのは、ディアスポラの両義性、(親密圏における)ハイブリッド化、マイノリティの可視性/不可視性、労働の女性化および人種化、トランスナショナル資本主義と労働の分割、市民権概念、国籍といった問題である。本研究を通じて、これまで出会うことのなかったさまざまな研究者が集まり、議論の場とネットワークを作り出していったことは、ディアスポラ研究の今後の発展のための、重要な契機となった。
著者
金 貴粉
出版者
大阪経済法科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

ハンセン病療養所で終生隔離を余儀なくされた患者・回復者はいかなる目的において芸術文化活動を行い、そこにどのような意味を見い出していたのだろうか。本研究は、これまで日本のハンセン病療養所で患者・回復者によって展開された絵画、書、陶芸、手芸を始めとする多様な芸術文化活動の意味とその芸術性について明らかにすることを目的とした。芸術文化活動に携わる入所者からのインタビュー調査ならびに作品、関連文献調査を行うことにより、所期の目的を達成した。
著者
大曲 由起子 鍛治 致 稲葉 奈々子 樋口 直人 髙谷 幸
出版者
大阪経済法科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、国勢調査オーダーメイド集計を用いて、1980~2010年までの在日外国人の社会経済的地位の動態を分析した。その結果、在日コリアンに関して1950~60年代生まれコーホートに置いて職業ニッチの変化が生じていること、民族経済が脱産業化したという説は過大評価である可能性が高いことを明らかにした。同時に、ニューカマーについては進学格差が縮まりつつあるが、これはリーマンショックによる帰国の影響が強いことも示唆された。また、中国籍に関しては学歴の高い新中間層と技能実習生に分化しており、出生コーホートごとに日本への包摂様式がかなり異なる。
著者
大澤 和人
出版者
大阪経済法科大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

2007年以降数年に渡る世界の金融市場の危機の原因となったstructuredfinanceproductsに関し、発行開示責任免除規則の欠陥とその濫用を招いた証券制度設計の不備について歴史的経緯に遡って解明し、賠償請求の裁判例(請求根拠)の検討、及びデリバティブズ組み込み証券の破綻にみられる倒産申立解除特約ipsofactoの有効性について米英法理を比較する。開示責任免責の改革のわが国への摂取について考える。
著者
市橋 秀友 本多 克宏 野津 亮
出版者
大阪経済法科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

クラスタリングとパラメータ最適化による簡便な識別器であるファジィc-平均識別器(FCMC)の識別時間(テスト時間)と訓練時間(事前計算時間)の大幅な改善手法を開発した.そして,FCMCの訓練時間を高性能なサポートベクターマシンとして知られているLibSVMと比較した.四つのパラメータのうちの二つを自動最適化する.LibSVMのパラメータ数は2である.改良されたFCMCではLibSVMと同等の識別精度が得られ,100万件以上の大量データでの訓練時間は,LibSVMに比べて100倍から1000倍の高速化を実現した.
著者
藤本 和貴夫 華 立
出版者
大阪経済法科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

日ソ国交樹立(1925)から満州事変の始まる1930年代の初めまでの日ソ関係は、安定していたと評価されているが、実態の研究はほとんど進んでいなかった。1920年代後半もウラジオストクには日本居留民会が存続し、日本人の経済・文化活動が活発に行われていたという事実に注目すべきである。他方、日ソ両政府は、さまざまな点で対立しつつも、東北アジアにおける両国の利害関係を調整しようと努力した。1930年代に確立される「社会主義国家」対「資本主義国家」といったステレオタイプとは異なる日ソ関係が1920年代後半には成立していた。1931年9月の満州事変の勃発に対して、ソ連は中立の立場をとったが、日ソ関係は悪化し、1936年の日独防共協定の締結により、日ソ関係は事実上断絶した。
著者
澤野 義一 魏 栢良 糟谷 英之
出版者
大阪経済法科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

「日本のジュネーブ条約追加議定書の批准と国内法的課題」というテーマで3名の共同研究者が2年にわたり研究調査を行ったが、次の点が課題であることが判明した。まず、ジュネーブ条約追加議定書等の国際人道法(理念)の自治体における実施の不十分さは早急に改善される必要がある。第二に、原子力発電所に関する武力攻撃等からの住民防護対策は、外国においても国防作戦の中で図られ、具体的な対策は明らかにされていないため、国際人道法の責務が厳格に果たされているか疑わしい。第三に、アジア諸国における国際刑事裁判所規程の批准状況の低迷の一因がアメリカの当該裁判所への敵対的対応にあることから、アメリカの今後の対応変化によってアジア諸国の批准状況の低迷に前向きの変化が生ずる可能性がある。
著者
早尾 貴紀
出版者
大阪経済法科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本科研費による研究活動開始前からの刊行論文も併せて、2008年に単著『ユダヤとイスラエルのあいだ-民族/国民のアポリア』(青土社)を出版した。マルチン・ブーバーおよびハンナ・アーレントという二人のドイツ系ユダヤ人哲学者の模索したバイナショナリズム、つまりパレスチナにおけるユダヤ人とアラブ人の共存思想の展開と隘路を辿った(同書前半)。また、建国後のイスラエルに対して、アイザイア・バーリンやジュディス・バトラー、マイケル・ウォルツァーらリベルラル派のユダヤ人によるイスラエル批判の意義と限界を分析した(同書後半)。そのかん、イスラエル/パレスチナへの研究滞在(主としてヘブライ大学とハイファ大学)および現地からの研究者の招聘(ハイファ大学カイス・フィロ教授)などを重ね、資料調査・研究交流をおこない、上記単著以降の研究の展開を模索した。その成果として、ブーバーやアーレントの同志であった重要人物ユダ・マグネス初代ヘブライ大学学長をはじめとする、建国直前期のヘブライ大学の哲学者たちが、いかに排他的な民族主義に陥ることなく、アラブ人・アラブ文化と共存しながら自らのアイデンティティを保持するのかという課題に取り組んでいたことの意義を分析する論考を発表した。その他、「ディアスポラ」から民族の越境と共存を読み直す共同のプロジェクトに参加し、そのなかでのバイナショナリズムの歴史的意義と現在的可能性を考察する論考を発表した。
著者
村下 博 西中 誠一郎 洪 貴義 近藤 敦 塩原 良和 近藤 敦 塩原 良和 鈴木 江理子 塩原 良和 近藤 敦
出版者
大阪経済法科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、日本社会における非正規滞在外国人および在留特別許可申請者の生活状況の実態が社会学的調査によって明らかになり、また在留特別許可制度をはじめとした戦後日本における出入国管理体制の形成過程が歴史学的に再考され、さらに諸外国の移民受入れ制度や非正規滞在者政策との比較研究によって日本の制度や状況の特徴や課題が明確化された。