著者
崎村 建司
出版者
新潟大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

本研究の目的は、脳の特定な部位や細胞に限定した標的遺伝子の欠損が出来るCreリコンビネース発現マウスを系統的に作出し、脳機能を分子レベルで解明するリソースを開発することである。このために、我々は本年度新たな方法を開発した。第1に迅速遺伝子改変ベクター作成法である。構築の迅速化を図るために、ES細胞での相同組換えに必要な薬剤耐性カセットやネガティブ選択に用いるジフテリア毒素遺伝子カセットなどをあらかじめ組み込んだ汎用ベクターを用いて、BACクローンでのRED/ET組み換え法、さらにラムダファージの組み換え系を利用して多種類のDNA断片を一時に結合して相同組換えベクターを作成する。この方法の特徴は、これまでベクター作成時に問題になっていたDNAライゲーションのステップを用いないので、特別な訓練を受けていない学生や技官にも出来るところにある。第2に、ES細胞での相同組換え効率を高めるために薬剤耐性カセットを改良した。UPA-trap型ターゲティングベクターを用いることで、薬剤耐性コロニーの中に占める相同組換え体の割合を上げることができた。これらの技術改良は、遺伝子改変マウスを迅速かつ安価に作成する上できわめて重要なものである。また、本研究では各種細胞選択的にCreリコンビナーゼ発現するマウスを作製した。海馬CA3錐体細胞で特異性高く組替えが惹起できるGRg1Creの他、海馬CA1錐体細胞選択的なCP14、小脳プルキンエ細胞のD2CRE、小脳顆粒細胞に選択性の高いGRe3iCre、ほぼ全ての顆粒細胞にCreを発現するTiam1Creである。これらCre発現マウスは特定研究「統合脳」の班員のみならず広く脳研究をおこなう研究者に提供する予定である。

言及状況

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こんな研究ありました:脳機能解析に最適化した遺伝子改変マウス作成システムの構築(崎村 建司) http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/20019019

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